2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳。
日本は世界的にみても長寿国で女性が世界2位、男性が世界3位となっています。
そうした中、死亡年齢を配偶関係別で見てみると、女性は既婚より未婚の方が長生きであるなど興味深い傾向がみられます。
死亡年齢の統計から分かる、配偶関係別による傾向についてご紹介します。
女性は死亡年齢のピークが未婚より有配偶者の方が若い
以下のグラフは、既婚、未婚、離別、死別別にみた死亡年齢の構成比(男女別)です。
例えば、既婚の場合、既婚者の死亡者数を100%として、年齢ごと(5歳区切り)に死亡者数の割合をグラフにしたものです。
男性の死亡年齢構成比のピークは以下の順になっています。
- 死別 90~94歳
- 有配偶 80~84歳
- 離別 70~74歳
- 未婚 65~69歳
男性は、未婚が一番若い年齢(65~69歳)で死亡者数が多くなっています。
つまり、結婚経験のない男性は早死にする傾向にあります。
一方、女性の死亡年齢構成比のピークは以下の順になっています。
- 死別 90~94歳
- 未婚・離別 85~89歳
- 有配偶 80~84歳
女性は全体的に男性より長生きです。
そうした中で、男性とは傾向が異なり、有配偶が一番若い年齢(80~84歳)で死亡者数が多くなっています。つまり、結婚している女性は、(未婚・離婚・死別によって)独身である女性より早死にする傾向にあります。
もう一点、興味深い傾向が読み取れます。男女とも「死別」が最も長生きしています。これは、配偶者と死別したから長生きするということではなさそうです。
男性の場合は、配偶者と死別した時点で既に長生きだったため死別が最も長寿になっていると考えられます。女性の場合は、配偶者と生涯一緒だと早死にする傾向ですが、配偶者が亡くなった後は長生きするため「死別が長寿」になるようです。
既婚男性は未婚男性より20年長寿
このグラフは、2000年、2010年、2019年の有配偶者と未婚者(離婚、死別は含まれていません)の死亡年齢を比較したものです。
厚生労働省の人口動態統計を元に、年齢×死亡者数を全体の死亡者数で割って算出しています。
統計データでは、年齢は例えば、20~24歳というように5歳幅になっているため、その中央値(この例だと22歳)を使っています。
この表によると、男性も女性も有配偶者の方が未婚者より死亡年齢が高い、つまり長生きとなっています。
とはいえ、女性の場合は、有配偶者と未婚者の長生き差は小さく、2年未満です(0.32~1.83歳差)。一方、男性のほうは顕著で、有配偶者と未婚者の寿命差は20年前後(16~21.38年)です。
女性にとって結婚は負担になっているのか
これまでの統計の結果を見てみると、全体的に男性は有配偶者が長生きし、未婚は短命という傾向が顕著です。
一方、女性は有配偶者と未婚者の寿命に大きな差はありません。
男性は未婚の場合、食生活など生活習慣が乱れがちになりやすく、女性は、出産や家事の負担など、結婚よって重荷となる場合が男性より多いことが原因と考えられます。
教育社会学者の舞田敏彦氏はNewsweek日本版の記事で、女性の状況について以下ののように述べています。
女性にとって結婚が重荷になる理由はいくつか考えられる。
まずは出産による身体への負荷で、近年は晩産化もありその度合いが強まっている。
夫の家事分担率が低く、既婚女性の日々のストレスは尋常ではない。出産・育児で離職を強いられたり、夫の転勤のたびにキャリアや人間関係をリセットされたりするのも苦痛だ。
正社員として勤めることが減り、会社の健康診断も受けられず、自治体の健診に行こうにも幼児がいる場合、その時間もがとれない。参考:日本の未婚男性は長生きしないのに、女性は既婚より未婚の方が長生きする不思議(2020年6月10日Newsweek日本版)
まとめ
配偶関係の違いで長生きするかどうかが、男性と女性で大きく異なる結果には興味深いものがあります。
男女の社会的な立場や環境差が寿命に影響を与えている可能性が高いことを踏まえ、その点に注意した生き方を試みることは、男女とも寿命を延ばすために有効かもしれません。
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