朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

「独り(独身)を楽しむ」が世界のトレンドに!~消費者調査レポートの注目点をご紹介

トレンド「独りを楽しむ」イメージ

国際的な市場調査会社「ユーロモニターインターナショナル」(本社・ロンドン)が今年発表した、消費者傾向に関するレポート「2019年 世界の消費者トレンドTOP10(Top 10 Global Consumer Trends)」。
同レポートでまとめられた注目すべきトレンドの一つに「独りを楽しむ消費者」(独身を謳歌する)が挙げられています。
今回は、この部分について詳しくご紹介します。

目次

2019年 世界の消費者トレンドTOP10について

世界の消費者トレンドTOP10ユーロモニターは、国際的な市場調査会社。世界100ヵ国におよぶ幅広いネットワークを持ち、毎年約20,000の市場調査レポートを発行。あらゆる国や産業のトレンドや消費者動向を分析しています。

「2019年 世界の消費者トレンドTOP10(Top 10 Global Consumer Trends)」は、今年1月に発表されました。
各業界に精通したアナリストたちやリサーチチームが、国際市場と消費者調査等を活用し、業界関係者への聞き取り調査を行いながら作成。世界のトレンドに通じる消費者の価値観や購買動向の変化を10項目にまとめています。
出典:世界の消費者トレンドTOP10(euromonitor international)

トレンドTOP10の内容は

トレンドTOP10の各項目は以下です。
最後の「独りを楽しむ消費者」について後で詳しくご紹介しますが、他の項目も興味深い内容です。

  • 年齢にとらわれない
    年齢より若く感じ、ふるまい、扱われたい高齢者たち
  • 原点回帰する消費者
    少ないほど良い(※量産品やありふれた一般品を拒む傾向や本物志向の傾向について)
  • 意識の高い消費者
    思慮深く買い物する消費者たち
  • デジタルにつながる
    距離はもはや障壁ではない
  • 誰もがエキスパート
    知は力なり(※小売業者と消費者間の力関係が逆転したことについて)
  • つながらない喜びを求めて
    つながらない喜びを求めて(※SNSやネット接続と距離を置き、自分のリアルな生活を充実させることについて)
  • 自分のケアは自分でできる
    専門家に頼らずセルフケアに移行する消費者
  • プラスチックフリーな世界を目指して
    プラスチックゴミをなくすために直接行動を起こす消費者たち
  • 今すぐ欲しい!
    効率重視のライフスタイルとスムーズな体験
  • 独りを楽しむ消費者
    独身を謳歌する

「独りを楽しむ消費者」のポイント

トレンド10のうちの1つ「独りを楽しむ消費者」について、レポートの要点をご紹介します。

世界の単身世帯数は2030年までに、2018年から約30%増にあたる約1億2,000万世帯増加する見込み

  • 最新の米国国勢調査(2012年)によると、25歳以上の米国人の内、約20%が未婚。Pew Research Center(米国の調査会社)は、現在の米国の若年成人層の25%が50歳になるまで独身でいるだろうと予測している。
  • 英国の国家統計局によると、イングランドとウェールズの16歳以上の人口の内、3分の1以上が独身。
  • かつて一人っ子政策を採用していた中国では、男性が女性よりも3,000万人多いなど、男女の人口に大きな差が生じており、2030年には、30代の中国人男性の4分の1以上が一度も結婚していないということになる予測。

「ひとり暮らし」は自ら選ぶライフスタイルの一つになりつつある

  • 結婚適齢期、またはその時期を過ぎた年齢層の人々の間で、「ひとり暮らし」の印象がネガティブなものから、より健康で充実した人生を送ることにつながる、という前向きな印象に変化している。そのことによって、結婚適齢期、またはその時期を過ぎた年齢層の人々の間でひとり暮らしという生き方が広く選ばれている。
  • 現代における「ひとり暮らし」は、離婚によってやむなくひとりで暮らしているというよりも、自ら選ぶライフスタイルの一つになりつつあるため、ひとりを楽しむ消費者のライフスタイルに向けた製品やサービスのあり方が変わってくると考えられる。
  • 米国の国勢調査局の報告書(2017年)でも、調査対象となった米国人の約55%が、結婚または子どもを持つことは大人になるための重要な条件ではないと回答した。
    ベビーブーマー世代は、結婚や家庭を持つことを拒む姿勢が、必ずしも異例ではなくなった最初の世代である。

利便性と価格の手頃さを優先する「ひとり暮らし」の消費者

  • 単身の若年層と比べて、シニア層の人数がはるかに多いため、「ひとりを楽しむ消費者」のトレンドを牽引するのはシニア層であり、彼らの買い物習慣や好みがこのトレンドを左右すると考えられる。
  • 多くの単身シニア層は、自分の確立したイメージを大切にしているため、企業の販売戦略にはまることなく、自分自身の判断で買い物を楽しむ傾向がある。
  • ひとりを楽しむ消費者が最も優先するのは、利便性と価格の手頃さ。「高耐久性」、「高品質」、「流行もの」、「自然派」などと見なされる製品に支出する傾向が低い。少量パッケージの商品を購入する場合が多く、特定のブランドや会員制度にもあまりこだわらない。

「独りを楽しむ消費者」への業界の動き

  • 欧米ではペットを飼うことがすでに一般的なこととして定着しているが、アジアでは現在ペットを飼う世帯数が増加傾向にある。例えば、香港でのペット所有率は過去10年間で72%増加。高齢者とペットとの触れ合いによる平均寿命の向上に注目した高齢者ペットケアセンターが街中に出現している。その背景には、低出生率や晩婚化、高齢化が挙げられる。
  • ひとり暮らしの方の「ひとりご飯」の問題に関して。レストランのオンライン予約ができる米国の「OpenTable」は、「ひとりご飯」に対して新しいサービスを提供中。レストラン予約の際、オンライン上で「オープンシート」をリクエストすると、他の一人客やグループと相席になるだけでなく、無料の前菜が提供される仕組みである。
  • 最近創業したインドの「Senior Shelf」は、高齢者の預金口座や日々の介護に関するサービスを提供。単身高齢者の暮らしを支援している。
    インドでは、高齢者人口のほぼ4分の1が一人暮らし。60歳以上の人口は2050年までに約3億4,000万人まで増加することが予想されている。
  • 50歳以上の旅行者向けエアビーアンドビーと称される米国の「Freebird Club(フリーバード・クラブ)」は貸し手も借り手も50歳以上。ホストとゲストが交流する場であることが条件となっており、同世代同士の共通話題で交流を深める。
    CEO兼創設者のPeter Mangan氏は同社のコンセプトについて「高齢の住宅所有者や旅行者が直面がちな寂しさ、経済的不安、高齢者向け旅行の選択肢が少ないといった、社会的課題に対応するもの」と語っています。
    Freebird Club(WEBサイト)

まとめ

世界的に単身世帯が増加している中、日本と同様に「おひとりさま」の動向が注目されているようです。
「ひとり」を楽しむ志向、「ひとり」に注目した市場の動きなど、日本でも当てはまることが多く、とても参考になります。

レポートは以下のリンクからダウンロード可能です。
世界の消費者トレンドTOP10

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