一人暮らしの世帯が世界各国、特に先進諸国で増えています。
日本も同様に増えており、世帯数をみると世界3位の単身世帯国となっています。
単身世帯の世界と日本の現状をご紹介します。
一人暮らし世帯の割合が高い先進国。日本は世界3位の単身世帯国
世界の20億世帯のうち、約15%、つまり3億世帯は、一人暮らし世帯です。(出典:inter press service-2017年2月22日)
この割合は国よってバラつきがあり、ヨーロッパをはじめとする先進国では割合が高く、発展途上国は割合が低い傾向となっています。
図1は、日本の現在および将来の世帯の特性を,現在の欧米諸国と比較したものです。
デンマーク、ドイツ、ノルウェー等の北欧諸国より低く、カナダ、アメリカよりは高くなっています。
一方、発展途上国インド、インドネシア、イラン、メキシコ、フィリピン、ベトナム等では、10%以下となっています。
日本は、他の先進諸国と比べて、それほど割合が高いとはいえませんが、世帯数をみると世界3位の単身世帯国です。
調査年次が2011年とやや古いデータですが、世界の統計2016年(総務省統計局)によると、単身世帯の1位は総人口の多い中国約5,840万世帯、2位はアメリカの約3,121万世帯、日本は1,679万世帯で3位でした。
日本、欧米諸国では、単独世帯数が「夫婦+子供」の世帯数を上回る
先進国25ヶ国では、「夫婦 + 子ども」の世帯数よりも単独世帯数が上回っています。
特にフィンランド、エストニア、ノルウェー、ドイツ、日本では単独世帯の割合が高く、日本は二倍以上に達しています。
世界で単身世帯が増えている理由
単独世帯が増えている理由として、国連経済社会局人口部の元ディレクターで人口統計学者のジョゼフ・チャミー氏は以下の点を挙げています。
・社会的かつ経済的に自立した女性の一人暮らしも増えている
・高齢化の進行
・若者の間で結婚を遅らせる、結婚をしない選択が増えている
・離婚が増え、再婚率が低い
・価値観の変化
これらは、先進国にみられる傾向です。
ジョゼフ・チャミー氏の分析によると、経済が発展して生活が豊かになると、金銭的な余裕から、プライバシーを確保できる一人暮らしを選ぶ人が増えます。
そして、高学歴化が進み、専門性を持ってキャリアを築く人が増え、結婚を遅らせる、または結婚しない選択をする人も増えています。女性のライフスタイルの幅も広がっています。
同時にインターネットやSNSの発達により、ひとり暮らしであっても家族や友人と簡単につながれる時代となり、価値観の変化も単独世帯の増加に影響を与えているとみられています。
また、元気に長生きする高齢者が増え、社会保障や健康保険制度が整備されている先進国では、配偶者に先立たれた者がひとり暮らしを選択するケースが増えています。
日本の単身世帯の推移~2040年には約4割と予想
単独世帯の割合は、1980年の19.8%から2015年の34.5%へと増加。
かつて標準世帯と呼ばれ1980年には42.1%を占めていた「夫婦と子世帯」は減少し続け、2010年には、単独世帯の方が多くなりました。
将来、単独世帯の割合は2040年には約4割まで増えると予測されています。
みずほ研究所の分析では、今後、少子化によって若い層の一人暮らしは減っていきますが、50代以上の一人暮らしが増加。特に高齢者の一人暮らしの増加率が高くなると予想しています。
2015年からの10年間で単身世帯数は1割弱増加していくが、社会に与える影響は、この数値以上に大きい。
というのも、今後、20代から40代までの若い層の1人暮らしが減り、50代以上の1人暮らしが増加していくためだ。
具体的には、2015年から25年にかけて、20代から40代の単身世帯数は全体で8%減少する。
これは、少子化によって、これらの年齢階層の人口が減少していくためだ。
その一方で、50代以上の年齢階層では、全体で23%も単身世帯数が増えていく。特に注目すべきは、80歳以上の単身世帯の増加である。80歳以上の単身女性は25年までに34%増加して223万人となり、全年齢階層の中で最も多くの単身世帯を抱える。
出典:単身世帯が1996万世帯 加速する「ソロ社会」化(2018年みずほ研究所)
まとめ
先進諸国で単身世帯が増加していますが、高齢化や少子化が進んでいる日本では特にその傾向が顕著です。
日本は、人口が世界第10位ですが、単身世帯数では第3位。
将来推計では、2040年には約4割まで増えると予測されており、まさに「ソロ社会」という言葉が当てはまる国といえるでしょう。
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