11月11日は「独身の日」だということをご存知でしょうか。
中国が発祥で、現在は大規模な安売りセールを行う経済的にも大きなイベントとなっています。
日本では、それほど知られてはいないと思いますが、実は多くの日本企業も関わっています。
「独身の日」の由来やイベントの内容、日本に「独身の日」はあるのか等についてご紹介します。
独身の日とは
「独身の日」は、中国の光棍節(こうこんせつ)の別名。
「光棍」は中国で独り身を、「節」は祝日を意味しています。
独りを意味する「1」が並ぶ11月11日に独身を祝う日として知られています。法定祝日ではありませんが、毎年大規模なイベントが行われます。
また、「シングルデー」や「W11(ダブルイレブン)」といった言葉で呼ばれることもあります。
「独身の日」の由来は、1993年頃、大学生らが考案し、独り身で過ごさないために11月11日を「独身の日」としてパーティーなどを行なったことが始まりと言われています。
その後、社会に広がり、これを商機とみた企業が大規模安売りセールを行なったことから、現在では独身者に限らず多くの人がネットでセール品などの買い物をする一大イベントとなっています。
参考:独身の日とは(訪日ラボ)
中国の11月11日は「独身の日」。1日で5兆円を売り上げる一大ECセールイベントとは?(やまとごごろ.jp)
中国で買い物の一大イベントとして定着
寂しがりの独身者にネット通販の楽しみを提供しようと、中国IT企業最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)が、11月11日を「天猫ダブルイレブン(俗称:独身の日)」と称して、2009年に独身の日商戦を開始しました。
その後、ネット通販市場の拡大に伴い中国全土に広がり、アリババを筆頭に、各大手ECサイトが一斉に大規模な販促イベントを行うようになりました。
その取引規模は年々拡大。今では、11月11日といえば、独身者に限らず多くの人がネットでセール品など買い物をする一大イベントとなっています。
Alibaba Japanによると、2019年の「天猫ダブルイレブン」は、過去最大となる20万以上のブランドが参加し、100万の新商品が発売されました。最終的な取引額は前年比26%増、過去最高となる2,684億元(約4兆1,602億円)を達成しました。
アリババグループの取引額は下記の通りです。
2009年の0.52億元から2019年の2684億元へと、実に3300倍に伸びています。
2019年は日本円で約4兆1602億円。日本の国家予算約100兆円の4%規模と、相当な額の取引がなされていることが分かります。
それが短期間で達成されているのには驚きです。
2009年 | 0.52億元(約8億円) |
2010年 | 9.36億元(約145億円) |
2011年 | 52.0億元(約806億円) |
2012年 | 191億元(約2,961億円) |
2013年 | 350億元(約5,425億円) |
2014年 | 571億元(約8,851億円) |
2015年 | 912億元(約1兆4,136億円) |
2016年 | 1,207億元(約1兆8,709億円) |
2017年 | 1,682億元(約2兆6,071億円) |
2018年 | 2,135億元(約3兆3,093億円) |
2019年 | 2,684億元(約4兆1,602億円) |
Alibaba Japan Websiteのデータを元に作成
日本企業も参戦
花王、ユニクロ、資生堂、グリコ、MTG、ユニ・チャーム、ドクターシーラボなど数多くの日本企業が「天猫ダブルイレブン」に参加しています。
2019の天猫ダブルイレブンで、越境ECにおける国・地域別流通総額ランキングでは日本が4年連続1位を獲得しました。
参考:2019「天猫ダブルイレブン」ショッピングフェスティバル特集
また、2018年の「天猫ダブルイレブン」についての以下の記事では、日本企業の健闘が紹介されています。ユニクロがアパレル部門の取引額で1位となっています。
アリババグループが展開するネット通販サイト「Tモール(天猫商城)」において、「独身の日」1日限定セールの取引額が1億元(17億円)に達した店舗は167店舗にも及び、うち日本企業も6社ランクインするなどの大健闘をみせました。
なかでも、ユニクロは中国大陸633店舗(2018年8月時点)展開しており、中国国内でも圧倒的な知名度を誇ります。
セール開始後、わずか35秒で1億元(約17億円)を達成。取引額は、昨年比約2倍の6億元以上(約100億円)の売上を達成し、全業態4位(昨年5位)、アパレル部門1位(2年連続)と善戦しました。
また、資生堂グループは「天猫ダブルイレブン」傘下の数多くの企業を参加させており、天猫国際のマスカラ部門でリーディングブランドとなっているとのことです。
資生堂グループは 2019年11月までに天猫国際(Tmall Global)に、マキアージュ(MAQuillAGE)、アクアレーベル(AQUALABEL)、エテュセ(ettusais)をはじめとする傘下の 13 ブランドを出店し、天猫国際で販売を⼤きく伸ばしています。
中でもエテュセ(ettusais)は、旗艦店をオープンしてわずか 1 年で、天猫国際のマスカラ部門でリーディングブランドとなりました。
ラグジュアリー美容機器ブランド「ARTISTIC&CO.」(岐阜県)は、2019年の「天猫ダブルイレブン」で、高額な美顔器を完売したと紹介されていました。
天猫ダブルイレブンに向けて先行予約販売を開始した、ARTISTIC&CO.の新商品「Dr.Arrivo Ghost Premium 24金仕様」は、予約開始わずか30秒で6,000台が完売。
また、天猫ダブルイレブン特別仕様の美顔器セットボックスも、先行予約販売期間中に4,000台の売上を記録しました。ARTISTIC&CO.にとって、オフラインチャネルにおける半年の売上に匹敵する数字を達成しています。
2020年の独身の日「天猫ダブルイレブン」
2020年のダブルイレブンについて、アリババグループは「販売期間を2回に拡充して『シングル』」から『ダブル』とし、COVID-19で影響を受けている中小企業に商品のアピール機会を提供する」としています。
【2020天猫ダブルイレブン 概要】
名称(日本語) | 天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル |
名称(英語) | 11.11 Global Shopping Festival |
名称(中国語) | 天猫双11全球狂歓季 |
開催期間 | 2020年10月20日〜2020年11月11日 |
予約販売期間 | 10月20日〜10月31日、11月4日〜11月10日 |
販売期間 | 第1期 11月1日〜11月3日、第2期 11月11日 |
参加ブランド数 | 25万以上 |
新製品発表数(予定) | 200万以上 |
参加国・地域数 | 89 |
新ブランド数(予定) | 2600以上 |
【天猫ダブルイレブン 越境EC概要】
参加国・地域数 | 89 |
新ブランド数(予定) | 2600以上 |
参考:アリババグループ、2020年の天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバルを開始(アリババジャパン公式サイト)
日本国内での「独身の日」は?
日本国内向けキャンペーン
日本国内向けでは、2020年は「独身の日」関連のキャンペーンは行われていないようです。
しかし、過去に11月11日を使った様々な買い物キャンペーンが実施されていました。
例えば、2019年には、日本国内で以下のようなキャンペーンが行われていました。
- Yahoo!ショッピングとソフトバンク
11月11日を「いい買物の日」として、2019年11月11日までの一定期間、様々なキャンペーンを実施していました。 - 楽天
「おひととりさまDAY」を実施していました。キャッチフレーズ「11.11はみんなのソロ充を応援!」。
2019年11月11日~12日の48時間限定で、会員対象で、ポイントが最大7倍になるというキャンペーンです。
https://event.rakuten.co.jp/campaign/ohitorisama/
日本企業の海外向けECサイト
海外向けのECサイト(ネット通販サイト)では、2020年に台湾、香港、タイ、および英語圏のアジア諸国をターゲットにしたキャンペーン「独身の日の贈り物」「クリスマス準備」が予定されています。
アジア地域No.1規模の“日本好き”コミュニティサイト『FUN!JAPAN』を運営する株式会社Fun Japan Communications(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤井大輔)は、FUN! JAPANのECサイトにおける、新特集「独身の日の贈り物」「クリスマス準備」を発表。これを機に、ぜひ、ご出品を検討しませんか?FUN! JAPAN対象国である台湾、香港、タイ、および英語圏のアジア諸国に住む消費者に、御社の商品を販売するためのツールとして、ぜひご活用ください。
日本で「独身の日」のセールを利用するには
「天猫ダブルイレブン」を開催しているアリババが運営する海外向け通販サイトAliExpress(アリエクスプレス)では、2020年11月11日に「AliExpress 11.11 Global Shopping Festival」を実施します。
日本語サイトがあり、日本からも利用できます。
「AliExpress」は中国や香港の出品者が多く、商品価格が安いことが特長です。
日本語サイトでは、最大70%オフとしています。
ただ、日本語サイトは、翻訳機能を使用しているため表記が正確ではない場合があります。また、出品者とのやりとりは英語で行う必要があります。
さらに、トラブルが少なくないなどの声もネット上にあるので、利用には注意が必要です。
まとめ
今や一大イベントなっている「独身の日」が、学生のイベントが発祥とは興味深いです。
また、これまでの急速な増加、中国市場のネット通販市場の大きさは驚きでした。
ただ、最近は、市場規模が大きくなった半面、増加率は下がってきているので、今後がどうなるか注目されます。
日本国内向けはあまり盛り上がっていないように思いますが、11月11日はゴロがいいので、過去にあったように、様々なキャンペーンに使われやすいようです。
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