どんなきっかけでお独り様会を始めたのか聞かれる事が時々あるので、今さらですが3つのきっかけを書いておきたいと思います。
きっかけ①「一か月人と話していない」高齢者との出会い
お独り様会のアイデアのきっかけとなった出来事がありました。
2010年当時、私たちはNPO法人ボラナビとして、毎月一回、札幌の弊社事務所内の会議室で、イベント「ボラナビカフェ」を開いていました。土曜の日中に90分程度、おしゃべりをしたい市民が5〜15人集まり、お茶菓子と共にひと時を過ごす催しです。プログラムは、1人ずつの自己紹介の後、その自己紹介から出た話題などをもとにみんなでおしゃべりをするというものでした。(2006年3月スタート時より、のべ参加者数856人、一人当たり平均参加回数2.19回、リピート率32.8%)
ある開催時、前月に続いて参加された高齢の女性がいました。彼女は自己紹介の時に「人と話すのは前回、参加した時以来」とおっしゃったのです。「1ヵ月間人と話していない」という事実に、私もスタッフも衝撃を受け、新事業・お独り様会の発想につながりました。
きっかけ②既婚者を避けていた独身時代の経験から
お独り様会設立を構想し始めた当時、私はすでに結婚していました。でも、それより5年ほど前の34歳までは、結婚の予定がなく、彼氏もなく、友人関係も狭まっていました。仲の良い幼なじみとも、彼女が結婚していたら会うことすら避けている状況でした。(「お独り様会に込めた想い」にも書いています。)
その後、結婚して、気持ちの安定や幸せな感情を得ることができました。あわせて、独身の友人に対して「楽しく過ごしてほしい」との気持ちが湧いてきました。
しかし、すでに結婚している私が自分の友人に出会いを勧めたり、セッティングしたりするのは迷惑がられると分かっていました。立場の違いの劣等感や照れくささから、結婚している友人の好意を避けていた経験が私にあるからです。
そこで「独身者が集う仕組み」を考えました。友人に直接、勧められない「もどかしさ」と「おせっかい心」を、法人の仕組みで実現することで昇華させた一面があります。
もし私が独身のままだったら、代表者の自分が独身であることに注目を集める事業を起こす気にはならなかったでしょう。照れくささや、自分が独身であることには注目してほしくない気持ちがあったはずです。ラッキーなことに良いタイミングでした。
ちなみに、私は結婚していますが、籍は入れていません。生まれた時から使っている自分の名字が変わることに抵抗があるためです。そのため学生時代の友人の多くは、地元の新聞に「お独り様会代表」として時おり私のフルネームが載ることで、私を独身のままだと思っているかもしれません。「独身である自分を前面に出して会を設立するとは!」と驚かれていることでしょう。
きっかけ③補助金が認められた
お独り様会設立の直接的な後押しとなったのは、道庁の自殺防止に関する補助金です。この補助金は国から道庁に来ていて、初年度は申し込みが少なかったというウワサを小耳にはさんでいました。そこで、弊社で何ができるかを考えたときに、前述の経験からお独り様会で申請することにしました。
申請書を道庁の方に見ていただいた当初は「なぜ、独身者限定なのか」「自殺防止の補助金と適合しないのではないか」と質問されました。しかし、自殺者には、自殺前に笑わなくなる、食が細くなる、それまで好きだった事に興味が無くなるなどの兆候が出る場合が多いと言われています。それらは、特に配偶者がいないと気づいてもらえない可能性があることを説明して了承を得られました。
2011年から2年間限定の補助金でしたが、事業コンセプトと資金がそろったことで滞りなく始めることができました。
独身者のお役に立てたら
以上の経緯で、お独り様会は2011年に北海道で誕生し、2017年には東京でもスタート。現在の会員数は北海道と東京合わせて200人弱です。9年間でイベント開催数は758回、イベントのべ参加者は1万601人となりました。
同性・異性の友達や仲間づくり、婚活や恋活、楽しい時間の創出や生きがいづくり等、さまざまな目的を持った独身者のための会として、活動の輪を広げ、お役に立てていけたらと思っています。
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