最近は無料や格安でサービスを提供する様々な遺言サービスがあります。
一人で暮らす独身者にとっても、もしもの時に大切な人にメッセージや遺志を残したい、あるいは、相続等について記しておきたいというニーズはあると思います。
ここでは、大切な人にメッセージを残すものから、法的な効力を持つ遺言まで様々なサービスをご紹介します。
遺言とは
「遺言」とは、法的に効力をもつものに限らず、自身の最期に向けての意思を残すことを言います。
法的な効力のある「遺言書」は手書きの上、署名と捺印が必要です。
相続問題の専門サイト「相続弁護士Cafe」によると、独身者による遺言が必要な理由として以下の点を挙げています。
・独身者でも法定相続人がいるかもしれないから
・相続人がいる場合、遺言があったほうがスムーズな相続になるから
・相続人がいない場合でも、遺言でお世話になった人に財産を譲る(遺贈する)ことができるから
・相続人もなく、遺言もなければ、大切な遺産が国庫に帰属してしまうから
出典:独身でも遺言が必要な理由|独身者の相続と遺言書の書き方を解説(https://相続弁護士カフェ)
法的な効力のある遺言の作成は、弁護士などが請け負っています。
また、三井住友信託銀行では遺言を作成するための相談サービス「WEB遺言信託サービス」を提供しています。
このサービスは無料ですが、実際に遺言を作成する際に基本手数料(22万円)など費用が発生します。
また、法的な効力の有無に関係なく、死後、大切な人にメッセージを残したいというニーズもあると思います。
次に、手軽に利用できる遺言に関する3つのサービスをご紹介します。
法的な効力のあるものとないものがあります。
Lineで手軽に遺言を作成できるサービス「タイムカプセル」(無料)
LINEのトーク機能を使い、質問に答えるかたちで残していく情報を入力することで、遺言を作成できるサービスです。
法的な効力のある遺言も作成できます。
「タイムカプセル」の特徴
- 「健在時」「倒れた時」「逝去時」など、どのタイミングでどの情報を伝えたいかを設定することができます。(※注1)
- 「プロフィール」「資産」「身の回りのこと」「健康」「告知・延命」「葬儀・納骨」など、幅広い内容をカバーしています。
- Lineで作成するだけでは法的な効力はありませんが、出来上がった遺言書の見本を自筆で清書して署名・押印をすれば法的な遺言書の作成もできます。(※注2)
注1※
逝去の場合は、遺書の作成者が亡くなった時は、遺言の受取先として指定されている方が逝去を証明するための書類画像をアップロードし、かつ、遺言作成者本人にタイムカプセル運営会社から生存確認の連絡をして48時間返答がない場合に遺書が届けられます。 よって、遺書を残す相手にはあらかじめ仕組みを伝えておく必要がありそうです。
注2※
遺言の内容によっては確実な遺言の実行のために専門家に相談した方が良い場合があります。
LINE公式アカウントの友だち登録をすれば無料ですぐに始められます。
これだけ内容が充実しているのに無料で利用できるのは驚きです。
大切な人にメッセージを残すサービス
死後、大切な人にメッセージを残すサービスを2つご紹介します。
これらのサービスには法的な効力はありません。
動画による本格的な遺書動画サービス「ITAKOTO」
アプリを使って遺書動画を撮影し、大切な人とシェアするというサービスです。
タレントの田村淳さんの発案で開発されました。
ITAKOTOの名前の由来は、「残された方に“言いたかったこと”」「この世に“いたこと”」「今を生きる人にメッセージを伝える“イタコ”」から名付けられました。
田村淳さんは
「死ぬタイミングが近づいてからではなく、元気で思考がはっきりしているうちにメッセージを残すことで、自分が何を大切にして生きているかが明確になるはずです。
そして、そのメッセージは受け取った側も心の癒しになるはずです。
まずは、気軽に死ぬ気になって、大切な人にメッセージを残してください。」
と語っています。
利用の流れ
- ガイドに従ってスマホで動画を撮影
- 遺書動画のURLを大切な人に送る
- 受け手はURLが届いたらWebで開封
料金
プラン | トライアル | スタンダード (パートナー) |
スタンダード (ファミリー) |
プレミアム |
料金 | 無料 | 月額120円 | 月額380円 | 月額480円 |
遺書数 | 1通 | 1通 | 5通 | 無制限 |
動画容量 | 1分 | 3分 | 3分 | 3分 |
画質 | 低画質 | 高画質 | 高画質 | 高画質 |
保存期間 | 1年 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
※年額割引プランもあります。
遺言メールを死後に送信「走れメロス」
利用者が生前用意していたメッセージを死後に大切な人に送信するサービスです。
太宰治の小説「走れメロス」をイメージしているようです。
走れメロスとは
このサイトを利用するには、あなたの最も信頼できる友人に、あなたの死後、遺言メールを送信する「送信コード」を託さなければなりません。
太宰治「走れメロス」で、メロスの身代わりとなったセリヌンティウスが、自らの命を託して親友メロスを信じました。あなたが最も信頼できる友人、自分の死後、間違いなく「送信コード」を入力してくれる友人。あなたにとっても、その人がメロスなのです。
引用:「走れメロス」オフィシャルサイト
利用の流れ
- メール送信コードを家族、友人、恋人、恩師などに託します。
- 家族や友人等があなたの死を知った時、専用のページにメール送信コードと、自分のメールアドレスを入力します。
- 24時間後にあなたの遺言メールが作成され、あらかじめ登録しておいた方々へ送信されます。
料金
プラン | フリー | スタンダード | プレミアム |
料金 | 無料 | 年額 2,200円(税込) | 年額 3,300円(税込) |
メッセージ数 | 1通 | 10通 | 20通 |
メッセージ文字数制限 | 全角200文字 | 全角200文字 | 全角200文字 |
広告メール | 1ヶ月につき最大4通の広告メール配信 | なし | なし |
その他 | ビデオや音声などのメッセージファイル(10MBまで)を添付可能 |
様々な遺言サービス まとめ
健在時に、死んだ時のことはあまり考えたくない、遺言を作成するのは、おっくうだという方も少なくないと思います。
それでも、死んだ時、残された人に必要な事やメッセージを伝えるのは大切で、今回ご紹介したサービスはその後押しをしてくれると思います。
最初にご紹介した「タイムカプセル」は、サービスの提供開始(2020年5月)後2カ月で累計ユーザー数1万人を突破したことが報じられ、ニーズの高さがうかがえます。
関連の参考サイト(外部サイト)
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