この度発表された「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」2020年版では、世界で最も幸福な国は、フィンランドが3年連続で1位。日本は62位でした。
この幸福度のランキングの詳細、どのような基準で評価されたのか。上位国のコロナ対応等も含めてご紹介します。
世界幸福度ランキングについて
参考:World Happiness Report 2020
世界幸福度ランキングは、2012年に始まり、今回(7回目)は153の国・地域を対象としています。
市民に自分が幸福と感じる度合いを自己評価した結果と、「人口当たりGDP」「社会的支援」「平均寿命」「人生選択の自由度」「寛容さ」「社会の腐敗度」などの指標を元に総合評価しています。
経済的な指標だけでなく、主観的な満足度にも重きを置いています。満足度は、国や個人によって捉え方が違うので、客観性があるかどうかは評価が分かれそうです。
データは2018〜19年に収集されたもので、新型コロナウイルス対策として、各国で実施された様々な制限の影響は反映されていません。
幸福度 国・地域別ランキング~フィンランドは3年連続で首位、日本は62位
上位20位ランキング
1. フィンランド
2. デンマーク
3. スイス
4. アイスランド
5. ノルウェー
6. オランダ
7. スウェーデン
8. ニュージランド
9. オーストリア
10. ルクセンブルク
11. カナダ
12. オーストラリア
13. 英国
14. イスラエル
15. コスタリカ
16. アイルランド
17. ドイツ
18. 米国
19. チェコ
20. ベルギー
フィンランドは3年連続で首位。2位デンマーク、3位アイスランド、4位スイス、5位ノルウェーで、北欧5ヶ国はすべてトップ7位以内に入っています。
日本は、2019年の58位から後退し、62位と過去最下位でした。
アジア諸国は、台湾25位、シンガポール31位、フィリピン52位、タイ54位、韓国61位、香港78位、中国94位でした。
ワースト5は、153位 アフガニスタン、152位 南スーダン、151位 ジンバブエ、150位 ルワンダ、149位 南アフリカ共和国。武力紛争や貧困の問題等が深刻な地域です。
幸福度 都市別ランキング
都市別ランキングは300都市を対象としています。
国別の調査とは評価方法が違っており、「今の人生、今の生活に対する満足度」「最近よく感じる感情」に関する評価となっています。主観的な評価方法といえるでしょう。
上位10位ランキング
1. ヘルシンキ(フィンランド)
2. オーフス(デンマーク)
3. ウェリントン(ニュージーランド)
4. チューリッヒ(スイス)
5. コペンハーゲン(デンマーク)
6. ベルゲン(ノルウェー)
7. オスロ(ノルウェー)
8. テルアビブ(イスラエル)
9. ストックホルム(スウェーデン)
10. ブリスベン(オーストラリア)
国・地域別と同様、上位は北欧の都市が多いです。
東京は79位。
東アジアの上位は台北(台湾)の47位、ソウル(韓国)は83位、上海(中国)は84位という結果となりました。
北欧の幸福度はなぜいつも高いのか
レポートでは、「北欧の幸福度はなぜいつも高いのか」という質問に対して、以下のような要因を挙げています。
・政府の腐敗の少なさ
・社会福祉制度が整備されている
・民主主義がうまく機能している
・高い自由や自治権
・社会、人々に対する信用度の高さ
特に連続1位のフィンランドは、課税率が高いですが、公共サービス、医療、教育、福祉のほとんどを国が負担することでも知られています。
フィンランドの人は、ふだん感じている生活のゆとりが幸福感につながっているかもしれません。
フィンランド大使館の広報を務める堀内都喜子さんの著書「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか?」では、フィンランドの生活の特徴として以下のような点を挙げています。
・1人あたりのGDPが日本の1.25倍
・偏差値と学歴が存在しない
・在宅勤務3割
・残業なし
・1日2回のコーヒー休憩
・睡眠は7時間半以上
・夏休みは1か月
・サウナは接待やおもてなしの場
・教育は世界トップクラス
・ヘルシンキがワークライフバランスランキング世界1位参考:「祝!3年連続でフィンランドが幸福度ランキング世界一位を獲得!『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか?』が3.6万部を突破!」PR TIMES
独身者の割合と幸福度の関連は?
独身者の割合との相関はないか、主要国の婚姻率を見てみると、上位20位は以下の通りになっています。
()内は婚姻率=1000人当たりの人数
上位20位ランキング
1. エジプト(9.6)
2. イラン(8.8)
3. ロシア(8.5)
4. トルコ(7.4)
5. ルーマニア(7.3)
6. シンガポール(7.1)
7. アメリカ合衆国(6.9)
8. イスラエル(6.2)
9. デンマーク(5.5)
10. スウェーデン(5.2)
11. ハンガリー(5.2)
12. 韓国(5.1)
13. オーストリア(5.1)
14. ポーランド(5.1)
15. チェコ(5.0)
16. ドイツ(4.9)
17. オーストラリア(4.9)
18. 日本(4.9)
19. キューバ(4.8)
20. ギリシャ(4.7)
出所:人口統計資料集2019(国立社会保障・人口問題研究所)
日本は18位です。
幸福度上位の北欧諸国を見ると、デンマークが9位、スウェーデンが10位ですが、幸福度1位のフィンランドは21位と日本より低く、ノルウェーが23位でした。(アイスランドはこの統計には含まれていませんでした)
北欧諸国は、幸福度ランクキング62位の日本より、上位と下位の両方に位置し、独身者の割合と幸福度の相関関係は認められませんでした。
北欧都市の新型コロナ対策
幸福度調査で上位を占める北欧諸国。最近は、コロナ対策で抑制効果を上げる中、女性首相がほとんどであることが注目を集めました。
独自路線のコロナ対策を採用しているスウェーデンは男性が首相ですが、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドは女性が首相です。
2020年6月9日の数字です。
ノルウェー(人口536万人) 感染者8,561人 死亡者239人
アイスランド(人口36万人) 感染者1807人 死亡者10人
デンマーク(人口582万人) 感染者11,962人 死亡者593人
フィンランド(人口552万人) 感染者7,001人 死亡者323人
スウェーデン(人口1032万人) 感染者45,133 死亡者4,694人
「集団免疫」戦略をとるスウェーデンは、突出して死亡者が多いですが、それ以外の国はある程度、抑えられているようです。
対策は、備蓄倉庫を持っていたとして話題となったフィンランド、迅速な規制、緩和を行っているデンマークやノルウェー、「集団免疫」戦略をとるスウェーデンなど、国々で異なっています。
北欧諸国の特徴として、若者や女性、特権・年齢・性別に限らず、才能ある人をリーダーとして受け入れる国民性、社会の柔軟性、成熟性を指摘する人もいます。
人口がそれほど多くないことも、突発的な事項に対応しやすいのかもしれません。
また、北欧諸国はもともと政府がデジタル化を急いで進めており、テレワークやオンライン授業の実施も割合スムーズに行われているようです。
独自路線のスウェーデンの対応も、賛否両論あります。今のところ数字的に厳しいですが、長期的な成果をWHOをはじめ世界が注目しています。
まとめ
このレポートは今年3月に発表されたものです。
その後、新型コロナの影響で、世界の状況は大きく変わりました。
まだ新型コロナの収束が見えませんが、長期間に及ぶことが予想されます。
来年のレポートが発表される頃には、収束していることを願いますが、幸福度にコロナの影響が色濃く反映されることでしょう。
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