『耕論』孤立死に向き合う
特集記事の中で「お独り様会」の会員さまのコメントが紹介されました。
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お独り様は外に出てみて
成澤正人さん 「お独り様会」会員
46年、札幌市生まれ。地元の高校卒業後、薬品会社などで勤務。99年離婚。昨夏、高齢者施設のホームヘルパーを定年退職。年金生活。
「お独り様会」は、札幌の NPO 法人が去年の4月に立ち上げた集まりです。独身なら誰でも会員になれます。独身じゃないとわかってもらえない思いや困りごとを打ち明けあったり相談したりして、希望する人は友達やパートナーを見つけようという会です。
「大震災もあり、人生には想定外のことが起きる。孤立死を避けるためにも、今は必要だと思っています」
これが、私がお独り様会に入会したときに書いた自己紹介です。多重債務が原因で離婚してから13年。年齢も65。前期高齢者となりました。あと人生20年ぐらいはあるだろうし、健康なうちにパートナーを探したいと思ったのです。残念ながらまだ見つかってはいませんが。
会員は20代から80代まで400人を超えました。女性は「1人で食事しても美味しくない」「毎日、家で犬としか会話しないので友達が欲しい」とか言う方が多い。男性はあまりしゃべりませんが、本音は伴侶を探したいんじゃないですか。
お独り様といっても、親も死んでずっと未婚で子供も親戚もいない天涯孤独な人から、私のように一人暮らしだけど子どもや孫とは行き来がある人まで、お独りの「度合い」はいろいろです。でも、会に出て来る気持ちがある人は、まだ大丈夫だと思いますよ。
私は子供や孫に迷惑をかけずに過ごしたいですから、特別な用事がなくても、電話やメールで連絡できる知人をたくさん持ちたいと思っています。お独り様会のほかに、お年寄りの送迎などの有償ボランティアもしています。キリスト教信者なので日曜日には教会にも行っていますので、もし私に突然何かあっても、連絡できる人や気づいてくれる人は、30人くらいはいるんじゃないでしょうか。
札幌にも独居の人、多いと思います。独居者に家電や家具を届けるボランティアをしたとき、家に入ると家電を置く場所を空けておくでもなく、ゴミも片付けてなくてぐちゃぐちゃ。人と関わるのを面倒くさがる人がいますよね。そんな人たちこそ、自発的に出て来てくれればいいのですが。
お独り様会の比較的若い方で「1人で死ぬのが、何で悪いんでしょう」と理屈で言っている方もいました。でも実際に年を取ってくると、だんだん体も衰えて、昔できていたことができなくなって、現実のものとして見えてくるんです。ヘルパーをしていて、前日まで普通に食事をしていたのに亡くなる人も見ました。私も ぜんそくを患ったことがあるので、いつどうなるか分かりません。エンディングノートを買って、葬儀はどこでしてほしいとか書いています。
(聞き手・久田貴志子)