「お独り様」の安否を確認~札幌のボラナビ倶楽部
NTT「着信お知らせメール」活用~4月開始 通話料かからず
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独身者の交流組織「お独り様会」を運営する札幌のNPO法人ボラナビ倶楽部は4月から、NTT東日本(東京)の「着信お知らせメールサービス」を活用し、会員の安否を確かめる仕組みの運用を始める。会員が定期的に専用電話に掛けると自動的に同倶楽部事務局へメールが届き、無事が確認できる。孤立死など万が一の事態を防ぐ狙いで、NTTも「そんな使い方があったとは」と驚いている。
(古田夏也)
「着信お知らせメール」は仕事や買い物などで外出中、外部から自宅に電話が入ったことをメールで携帯電話やパソコンに自動的に使えるサービス。同倶楽部はこれを応用し、安否確認を希望する会員に電話番号と親族などの緊急連絡先を登録した上で週に1度、専用電話に掛けてもらう。1回以上コールしただけで切れば良いので通話料は生じない。
着信情報は自動的に同倶楽部事務局へメールで送られるよう設定し、スタッフが、着信番号と登録者を照合。メールが来なければ登録した緊急連絡先に問い合わせ、無事を確かめる。
同会は未婚者や離婚、死別で独身となった人の孤立を防ごうと2011年に発足し、20~90代の現会員約450人の9割は道内在住。札幌で交流会を開いてきたが、昨夏、札幌の60代の男性会員と連絡が取れなくなり、スタッフが私に通報し、市職員が男性宅に出向くケースがあった。男性は携帯電話の電源が切れたまま旅行していて無事が確認されたが、同倶楽部は「普段から緊密に連絡を取り合う必要がある」と今回の仕組みを発案した。
森田麻美子代表(40)は「二重,三重に網を巡らすことで会員が孤立せず、つながりを感じられるようにしたい」。会員で札幌市豊平区の無職成沢正人さん(67)は「独り暮らしで常に不安はある。今回の取り組みは、誰かが見守ってくれている安心感を生むし、無料という点も画期的だ」と評価する。
一方、NTT東日本は、「会社員や主婦などを想定したサービスなので、このような使い方は意外」と注目。全国の他団体に同様の利用が広がることも想定し、サービス内容の改良も検討するという。