2019年5月27日 北海道新聞朝刊

緩やかに友人つくれる仕組みを~「お独り様会」運営 札幌のNPO・森田さん

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2019年5月27日 北海道新聞朝刊

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既婚者誰もが独身に戻る可能性

高齢化や未婚の増加などを背景に独身者が増え、社会現象として注目されている。未婚、離婚、死別の独身者同士の交流組織「お独り様会」の活動を長く続けるNPO法人ボラナビ(札幌)の森田麻美子代表理事(47)は「既婚者でも独身になる可能性がある」と身近な事柄であることを強調する。森田さんにボラナビの活動や独身者に対する思いを聞いた。

現在の活動は。
「月に一回、お独り様交流会を開き近況を語り合っているほか、飲み会、カラオケ、パークゴルフなど『オフ会』を頻繁に開いて交流しています。札幌ではお独り様会が2011年に発足して以来、今年3月までに交流会、オフ会が約630回開かれ、延べ参加者は8500人を超えています。東京でも17年にお独り様会をスタートさせました」

同じ境遇に共感

会員の皆さんが交流に求めていることは。
「特徴的なのは、会員の要望もあって『子供も孫もいない60歳以上で一人暮らし』『死別した人だけ』『50、60代限定』など境遇の近い人同士のオフ会が開かれていることです。思いを分かち合うため、同じような体験をしてきた人との触れ合いを求めるのでしょう」
「体験と言えば、妻に先立たれた男性は、家からのゴミ出しが辛かったそうです。周りの人から『ご愁傷様です』と言われて傷つくからです。独り身の男性の中には、スーパーに1人で買い物に行くと特別な目で見られるので、1人の男性が多い時間帯を狙っていくと言う人もいました。そうした体験も、同じ境遇の人なら笑いながら共感できるようです」

未婚の人が各年代とも急増しています。

「今年3月に会員を対象に行った調査では、半数以上が『結婚をしたい』と答えています。独身である1番の理由は『結婚相手に巡り会う機会がない』でした。つまり不本意な独身が多いことがわかります。結婚に際し男性には経済力、女性には出産力(子供を産める若さ)を求めるのが一般的です。景気の低迷が長引いて非正規雇用が増えたり、女性の社会進出が進む中で、本人も周りもそうした価値観にとらわれていることが、未婚の増加につながっていると思います」

交流で張り合い

独身に価値を置く人も増えていますね。
「不本意な独身の人がいる一方、結婚を希望せず独身を楽しみたい方も多いですね。独身であるからこそ、配偶者を意識せず同性や異性との交流を存分に楽しめる一面もあるのではないでしょうか。一人暮らしの高齢者も、人と会うときにおしゃれをすれば張り合いが出るでしょう。何か人の役に立ったり、気遣いなどで他人が幸せになるのを手伝うことが、自分が幸せになる道だと思います」

社会学者の上野千鶴子さんはベストセラー「おひとりさまの老後」て、「みんな最後はひとりになる」と強調しています。

「人は独身で始まり、結婚しても誰もが独身者に戻る可能性があります。お独り様会で配偶者と死別された方は、故人の無念さを胸に抱きながら、人と出会って新たな人間関係を作ろうとしているのが分かります。今は既婚の方にとっても、独身者が緩やかな友人関係を作れる仕組みは必要だと思います」

お独り様会
20歳以上が対象。会費は1ヵ月1980円で34歳以下の女性は無料。月一回の交流会は独身なら会員以外でも1回だけ無料で参加できる。

もりた・まみこ
札幌市生まれ。北大経済学部卒。1994年から4年間、NHK札幌放送局でキャスターとして勤務。98年にボランティアグループ「ボラナビ倶楽部」(元NPO法人ボラナビ)を設立。夫と3人の子供と、フィリピン・セブ島と札幌市の2地域居住の生活を送る。