コロナ 不安高まる独身者(ソロの時間)
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重症化したら頼れる人が… 出会いの場や機会失うかも
札幌のNPO調査 専門家「助け合える友人持って」
「重症化したときに頼れる人がいない」「出会いの場や機会が断絶されるかも」ー。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で独身者の不安が高まっていることが、札幌のNPO法人が実施中のアンケートから浮き彫りになった。専門家は「一人暮らしをマイナスに考えず、日ごろから助け合える友人を持つ努力が大切」と話している。(佐竹直子)
アンケートは、独身者の交流会「お独り様会」を運営するNPO法人ボラナビ(札幌)が19日から、独身者を対象に新型コロナウィルス感染拡大の影響についてホームページで尋ねている。
25日までに回答があったのは20〜70代の男女89人で、約7割が一人暮らし、道内在住は約3割だった。新型コロナウィルスに関する不安について、4人に1人が「独身であるために不安が大きくなっている」と答えた。理由は「不安な気持ちを家ですぐ共有できるパートナーがいず心細い」「重症化したときに頼れる人がいない」「出会いの場や機会が断絶されてしまうかもしれない」「経済面での不安」などが上がった。
一方、独身であることで不安が「小さくなっている」と答えた人も14%いた。理由は「守りたい大切な存在がいないので、さほど苦にならない」「家族があると自分が感染したときにうつす可能性がある」「家族からの感染を心配しなくても済む」などだった。
感染拡大による自身の行動の変化を尋ねると「1人カラオケやスポーツ教室通いを自粛し、ストレスが溜まっている」「1人でカフェを巡るのが趣味だったが休止し、自宅にこもっている」「中高年独身者の交流会に参加してきたが、会が延期や中止になり、寂しい」など、外出自粛やイベント中止によるストレスを感じさせる回答が多かった。
また独身者の異変を察知するシステムや、自宅療養になったときの支援体制の必要性を訴える意見も複数あった。「誰にも会わなくても、毎朝いつも以上に念入りに化粧をした」「観光地が空いているので旅行に行く回数が増えた」「趣味に集中し、スキルが上がった」など、ストレス解消法をあげる人も多かった。
アンケートに答えた小樽市の福祉施設職員小島義則さん(59)は「1人を『自由で気楽』と捉え、感染を防ぎつつ、できる範囲で趣味の映画鑑賞やチェアスキーを続け心のバランスを保っている。独身と孤立は違う。社会とつながる努力をすれば、不安は解消されていく」と話す。
道内は未婚率や離婚率の増加で、一人暮らしは増加傾向にあり、2015年の国勢調査では全世帯の37.3%を占め、世帯を構成する人数別で最多だった。
関東学院大の井田瑞江准教授(家族社会学)は、独身者が抱える緊急時の不安について「日本は家族がいるから幸せと言う固定概念が強く、日常的に『一人は大変でしょ』と言われがちなことが先入観となっていることも大きい」と指摘。「結婚していても夫婦で頼り合えるとは限らず、一人暮らしをマイナスに考えないことが不安解消の第一歩。日ごろから助け合える友人を持つ努力をすることが大切」と言う。
ボラナビは感染が終息するまでアンケートを続ける考え。「独身者が思いを共有し、他の人の行動を参考にできる場とし、孤立の防止につなげたい」と森田麻美子代表(48)。アンケートへの回答や集計の途中経過はホームページhttps://ohitorisama.site/ で。
画像部分(NPO法人ボラナビのアンケート結果をもとに作成)
「独身」を理由に膨らむ新型コロナへの不安…
- 重症化したときに頼れる人がいない
- 経済的不安
- 気持ちを家ですぐに共有できるパートナーがいず心細い
- 出会いの場や機会が断絶されてしまうかもしれない
- 旅行などの個人的な理由で万が一感染したら、退職せざるを得ない。夫がいる同僚たちとは置かれた状況が違うと実感した
不安やストレスの解消法
- 誰にも会わなくても念入りに化粧する
- 免疫力を高めそうな食材を食べる
- 人混みを避けながら有酸素運動や筋トレ、バッティングセンターでの打撃訓練で身体を鍛える
- 旅行(観光地が空いている)
- 趣味に集中
- 家にこもらず、外出を心がける
- タンスの中の整理、床磨き、台所磨き