目次
災害時命守る“孤独予防”(ソロの時間)
画像の下に文字起こしがあります。
画像はクリックすると拡大します。
画像はクリックすると拡大します。
大災害の時、家に一人ぼっちだったら。そんな不安を抱えている人は少なくないはずだ。2015年の国勢調査では、道内の単独世帯は全世帯の37.3%を占める。備えの大切さを痛感させられた胆振東部地震から6日で2年。一人暮らしの人が、災害を乗り越えるためのポイントを考えた。(佐竹直子)
「食べるのを手伝って」。札幌市の成沢正人さん(74)が1日、近所に住む70歳の男性を訪ね、食パンの入った袋を笑顔で差し出した。互いに一人暮らしだ。
成沢さんは、毎月定額を払うと、市内の飲食店などで売れ残った食品が分配される「フードシェアリングサービス」の会員。2月の入会以来、食べ切れない食品は、近所の一人暮らしの人たちに分けている。
「フードロスを減らしながら、同じ境遇の人と仲良くなれたら一石二鳥」と成沢さんは明るく笑う。約20年前に離婚。昨年1月まで高齢者住宅で住み込みの管理人をしていたが、体調を崩して退職し、アパートで一人暮らし。近くに知人はいない。「災害時の最大の不安は孤立と孤独死。人とつながる努力をします」と言い切る。
NPO法人ボラナビ(札幌)が札幌と東京で運営する独身者同士の交流組織「お独り様会」は成沢さんを含む20~80代の164人が登録し、毎月、交流会で親睦を深めている。発足は東日本大震災直後の11年4月。当時、多くの人が入会理由に「災害が起きたら1人は不安」を挙げた。
森田麻美子代表は「友人や仕事仲間でも家族のある人とは、独身者ならではの心中を共有しずらい。独身者同士で励まし合える仲間をつくるのが大切」と言う。
(写真キャプション)
近所の男性にパンを差し入れする成沢正人さん。「孤独にならないように動くのが、1番の災害対策」と言うのが持論だ