創刊100号 ボランティア「してほしい人」「したい人」つないで8年
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ボランティア活動を「してほしい人」と「したい人」をつなぐ情報誌「月刊ボラナビ」が25日、創刊100号を発行した。同誌は、札幌市のNPO(特定非営利活動法人)「ボラナビ倶楽部」(森田麻美子代表)が98年8月に発刊。民間によるこの種の情報誌としては全国でも草分け的存在だ。
「公共的なことを行政だけで担える時代じゃない」と森田さん。100号を通過点として、ボランティアのすそ野を広げる活動に意欲を見せている。【横田愛】
「ボラナビ」は「ボランティア」と「ナビゲーション」を組み合わせた造語。05年度の内閣府の「国民生活選好度調査」では63・6%の人が「ボランティア活動に参加したい」と答えたが、活動内容や参加方法などの情報が不足しているのが現状だ。一方、地域活動をしている団体や手助けを求める障害者や高齢者は多いが、資金が少なくPRが難しい。月刊ボラナビの掲載料は無料で、月3万部を公共施設や学校、企業に配布。広告料や企業の協賛金で運営を賄っている。
最大の特徴は、ボランティアを求める方、する方双方の「気軽さ」にある。創刊100号となった06年12月号では、車椅子の女性が「冬の通勤が大変なのでどなたか車椅子を押して」、猫の世話をする団体が「猫好きの人集まりませんか」などと紙上で呼び掛け、情報を見た人が直接掲載者に問い合わせる仕組みだ。森田さんは「ボランティアに関心のない人も『このぐらいならできるかな』というものが見つかるよう選択肢をたくさん示したい」と狙いを語る。
同誌は札幌圏のみの発行だが、昨年、全道のボランティア情報を検索できるサイト(http: //www.npohokkaido.jp/volunavi/)を開設。今年3月からは、活動している人や始めたい人、悩みを持つ人などが自由に意見交換する「ボラナビカフェ」をスタートした。
札幌市の自営業、千葉兼稔(かねとし)さん(72)は「ボランティアという言葉は善意の押し売りのようで抵抗があったが、自分も何かをしたいとの思いがあった」とカフェに参加した動機を語る。 月刊ボラナビを参考にして、名古屋でも同様の「ボラみみ」が発行されている。森田さんは「『行政』や『自治』というと難しいが、実際に地域で活動すると『おかしい』と気付くことがある。多くの人に動き出してほしい」と語る。
(2006年11月25日 毎日新聞夕刊)