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2007年5月 木村美和子さん〜NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪理事長

木村美和子(きむらみわこ)

NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪(はななぎ)理事長。大学卒業後、福祉現場で20数年働く。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員の資格を生かし、現在は花凪でフルに活動をしている。

目次

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思いが慕って

 花凪は「なりたい自分になる」を理念として高齢者のグループホーム等を運営しているNPO 法人です。活動を始めてから6年が経過しました。札幌市西区平和地区にある1〜5号館にそれぞれの機能を持たせ、高齢になっても障がいをもっても、それ以前と同じように、その人らしく暮らせる場所づくりをおこなっています。

 花凪を立ち上げた動機は沢山あり、その一つは子どもの頃に感じた思いでした。経済的に裕福な家があり貧しい家があり、障がいをもつ子どもがいたり、その子をいじめる子がいたり。子ども心に「どうして?」という気持ちが大きくなり、そのうちに「大人になったら、困っている人をみんな助けたい 」になっていきました。高校生頃には「そばに困っている人がいたら、助けることができれば…」と遠慮がちになっていましたが、たぶんそれが、今の私の原点です。その後、大学の社会福祉科を卒業し、高齢者や児童福祉の現場で20数年働きました。この間ずっと抱えていたのは、決められた日課の中で余裕なく働く自分への疑問です。一人ひとりの利用者と充分向き合うのが福祉の原点であるという思いが強くなりました。

 花凪立ち上げの直接のキッカケとなったのは、1998年の3度の入院。死ぬかもしれない状態から持ちこたえた時、今までの生き方に満足していない自分に気づきました。後悔しないことを病院のベッドで決心し、退院後すぐ施設建設の土地探しを始めました。そんな時に私の構想を全面支持してくれた現在の夫と知り合いました。この夫と結婚していなければ、NPO 法人花凪は札幌には誕生していなかったことでしょう。  2000年4月にそれまで19年住んでいた十勝から札幌に転居し、任意団体を立ち上げ、12月に活動を始めました。知らぬ土地に知らぬ人ばかり。当初の会員は家族に親戚、夫の知人、会社の上司、十勝の仲間とインフォーマルな集団でした。その後、活動理念に賛同してくださった方が一人二人と増え、活動開始時には60人が会員として支えてくれるようになっていました。

一つひとつの願いに向かいあう。

 花凪の活動に転機が訪れたのは、2001年10月でした。自宅を開放しておこなっていた宿泊サービスを8日間利用していた認知症の女性が、終了日になっても、「ここは私の家 」と主張して住み込んでしまったのです。この方と木村家3人の共住みが始まったと同時に、「花凪高齢者下宿」が誕生してしまいました。その後、口コミで増え、気が付くと総勢7人で暮らしていました。夜中に1人が起き出すと、全員が行列をつくって歩き出す。異食に異所排泄、徘徊、暴言、暴力というような問題行動と呼ばれるもののオンパレード。今振り返ると、過酷ながら大いに笑える日々でした。  2003年に2号館を新築しました。ここは8人定員、認知症の方の下宿です。第1号の花凪家族であるTさんの「ここで死にたい」宣言を受け、Tさんの看取りとお葬式をあげられる家がほしいとの思いだけでつくりました。

 下宿発祥の1号館は、NPO 法人の事務所兼自宅に模様替えしました。中学2年生になっていた娘が夕食の席で言いました。「母ちゃん、3人だと寂しいね。TさんでもMさんでも、誰でもいいから連れ戻して」。いつも7人で夕食テーブルを囲み、雑魚寝して、出掛けるときも一緒でした。いつの間にか木村家は7人家族になっていたんだな、と改めて思いました。毎年、花凪家族で年を越し、元旦も一緒。血はつながらなくても家族そのものですから、みんなが元気になるために必要なことはどんどん実行していこうと思っています。

 デイサービスセンターや新たな下宿の他、2006年には「ばりあふりーしょっぷ花凪屋」という小規模多機能店舗をオープンしました。ここは、花凪家族や地域の人達が自由に買い物や食事をしたり、講習を受けたりして過ごせると共に、それぞれの能力に応じて働ける場所です。62.7坪の店舗に食堂と喫茶店があり、エステルームとミニデイサービス、託児スペースがあります。販売物のリサイクル品は、地域の方が「良かったら役立てて」と持って来てくださった物ばかりです。お店にはいろんな年代の方が集まっています。

 花凪の活動は、「一人ひとりの必要に向かい合ったら、こうなっていた」に尽きます。大きな施設に多機能が備わっているのではなく、これからは住み慣れた地域に、小さな施設がそれぞれの機能を持って点在し、多様なサービスを気軽に容易に手にできることが必要でしょう。そんな地域をつくる力になるのが、今の私の「なりたい自分」です。

NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪
メール hananagi@sea.plala.or.jp
ホームページ http://www13.plala.or.jp/hananagi/

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