朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2007年6月 長谷川敦子さん〜NPO法人北海道子育て支援ワーカーズ代表理事

長谷川敦子(はせがわあつこ)

幼稚園教諭退職後、10年ほど専業主婦。1995年に子育て支援をおこなう市民事業を創立。2003年から法人の代表理事を務める。2005年からは国の委託事業「緊急サポートネットワーク北海道」の総括アドバイザーも兼務。最近は事務ワークや会議出席が多く、なかなか子育て支援の現場に出向くことができないのが悩み。

目次

もう一度、仕事がしたい

 北海道子育て支援ワーカーズは、個人や集団の保育事業をおこなっていた4つの「託児ワーカーズ」が協同して設立しました。所属メンバーは30〜60才代の全員女性で、子育ち・子育てで感じる「こんなサービスがあったらな」「もっと違う方法はないかな」という思いを形にする市民事業です(現在は札幌市内に5団体、石狩市、江別市に各1団体の7団体で構成しています)。

 私は父が教員だったこともあり、ごくごく自然な成り行きで教員の道を選び、幼稚園に就職しました。けれどもいろいろな理由から2年で職を辞し、10年ほど主婦業と母親業(男子2名)に専念していました。親と同居していたこと、まわりに気の合う子育て仲間がいたこと、子どもと遊ぶことが好きだった等の理由からか子育てに悩むことも少なく、それなりに楽しく暮らしていました。しかし、下の子が小学校に入学した頃から、「もう一度子どもと接する仕事がしたいな」と思うようになりました。たぶん一人の時間が多くなったことで、?自分自身が生き生きできること”が必要になったのだと思います。けれども幼稚園教諭として再就職することは難しく、「自らの子育て経験を活かしたい」「子どもと接する仕事がしたい」と希望しても、30才過ぎの既婚者には限られた求人しかないのが現実でした。結局、幼児教室に再就職したのですが、自分自身の思いとのギャップが大きく、続けることができませんでした。

 そんな時、日本第1号のワーカーズ・コレクティブ「にんじん」を設立した宇津木朋子さんの講演を聞く機会がありました。その中で、特に?働く場所は自分で作る” という考えに大きな刺激を受け、ワーカーズ・コレクティブ(メンバー全員で出資し、運営し、労働を担う新しい働き方)に参加する決心をし、1995年3月に託児ワーカーズ(96年に子育て支援ワーカーズと改名)プチトマトを6人で設立し、出張して託児をするベビーシッターのような仕事を始めました。でも、年間の事業高は50万円程に過ぎず、?サークルのような働き方”でした。

自己満足では終わらせない

 せっかく設立したのにこのままでは悔しいと思い、いろいろな工夫をしました。なかでも大きな転機となったのは、個人宅の電話1回線から2つの番号を取得することによって、プチトマト専用の番号を電話帳に掲載できたことです。これでやっと?仕事” 意識のある団体に変身できたように思います。 今では設立から12年が過ぎ、メンバーは当初の5倍の30名、事業高は20倍ほどになりました。無我夢中で続けてきた事業を、単に?働く場所を自分たちで作る” という働き方ではなく、地域を豊かにしたり、アンペイドワーク(家事や育児、介護など、報酬を得られないが生活に必要な労働)の社会的な価値を高めたり、市民活動分野の拡大を目指したりする?もうひとつの働き方” であることを意識できるようにもなってきました。

 自分自身の生活では、子ども達は25才と21才になり、親としての出番はなくなりつつありますが、いくつに己満足では終わらせないなっても親にとって子どもは心配な存在です。特に私は心配性な母親で、つい先々の心配をしてしまい、「肝っ玉母さんになりたい」と思いながら全然実行できていません。私の場合、仕事場で冷静に考える子育てと現実の子育ては全く一致していないのです。けれども、最近は親だからこその思いも大切にしていいと開き直っています。特に成人した子どもは、まわりの方々に力を貸していただきながら育っていくものだと感じています。 これからも地域の助け合いの範ちゅうで可能なことと、継続的な事業」として取り組まなくてはならないことを整理し、社会に発信してきたいと考えています。

こんな活動をしています!

北海道子育て支援ワーカーズの三本柱。

親を支える事業

ひろば事業週1回開催。良質なおもちゃの活用など、利用者のニーズに即した「ひろば」の実施をめざす。

遊びを伝える事業

おもちゃフォーラム木の砂場が人気で、自治体や企業からの依頼で出張もする。「おもちゃが大切に扱われる文化の育成」につなげるのがねらい。

子育ち・子育て支援を学ぶ事業

講習会や講演会の実施これまでの実践で得た知識や技術を会員間で学びあうとともに、地域で子育ち・子育てを支える人を増やす事業。構成団体に所属しているメンバー100人以上の様々な特技を活かす。

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NPO 法人北海道子育て支援ワーカーズ
札幌市西区二十四軒1条4丁目6−3
二十四軒ターミナルビル 2F (移転しました)
TEL: 011−632−5180
FAX:011−632−5181
kos odate@proof.ocn.ne.jp
http://kosodate.i-cis.com/

※育児と仕事の両立を支援する厚生労働省「緊急サポートネットワーク」事業を受託している。病児や早朝、夕方から夜の託児支援ができるスタッフ会員を募集中。30時間研修有。

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