亀貝一義(かめがいかずよし)
NPO 法人フリースクール札幌自由が丘学園理事長
終戦の年1945年には小学2年生。今話題になっている昭和30年代は、まさに青春時代。「教えるとは共に希望を語ること」をモットーにしていこうと思っています。
新しい学校を!
少々気負った表現で気恥ずかしいのですが、今から思えば「教育の道ひと筋」のこれまででした。たぶんこれからも足腰が立つ限り、これ以外の道は無いのだろうと思います。
大学2年の時、北大恵迪寮の行事で講演会があり、後に衆議院議員になった小笠原貞子さんと北大教育学部教授の鈴木朝英さんが招かれました。小笠原さんはキリスト教の立場からヒューマニズムを強調する講演をされ、鈴木さんは教育の仕事の大切さについて話されていたように思います。この講演を聴いたことがきっかけで私は教育学部に入り、1960年には札幌市内の私立高に社会科の教師として勤めることになりました。この時代は日本の民主主義がようやく民衆のものになり始めた時期でした。
1980年代はいじめや自殺、管理教育が問題になり、点数で人間を差別したり、点数を尺度とする教育観が大きな関心を呼びました。私の周辺には日本の教育を改革しなければという気持ちをもった人がたくさんいて、1986年4月、学現場の教師、母、一般市民など数百人が参加して「新しい教育・学をつくる会」(略称「新教研」)が結成されました。そして、講演会や100回を超える教育書の読書会、機関誌の刊行等を続けるうちに、自然に「自分達の望む学校をつくるべき」という声が上がってきました。
新しい学校を「自由・共同・個性・表現・国際・北海道」等をキーワードとする内容にしていこうというのが合い言葉で、私は1990年の春、周りの声に推されて決意を固め教職を辞し、当時の新教研会長の鈴木秀一教授も北大を退職しました。友人達が開いてくれた励ます会で、100人を超える方からのの熱いメッセージを聞いて胸に迫るものを感じました。フリースクール、これは難しいが非常に意味のある事業!
といっても、事態は容易ではなく、とにかくものすごくカネがかかります。バブルの時期だったので「カネのことは心配しなくていい」と言ってくれた方もいたのですが、バブル崩壊とともにこの話はキャンセルされ、その後独力で学校づくりの道を歩んだものの、結局は頓挫しました。しかし、いわゆる登校拒否の子ども達が増加の一途をたどっていた頃で、「やれるところから始めよう。まずは、この子たちのサポートだ」と方向を定めたのです。そして1993年11月、6人の生徒を迎えてフリースクール札幌自由が丘学園がスタートし、「ここはまだ?学校” とは言えません。しかし、どの学校よりもあなた方を大切に迎えるスクールです」と挨拶したのを覚えています。その後どんどん生徒は増え、学園の施設もビルの1フロアから今のビル1棟へと拡大したのです。
フリースクールは「学校」としての制約はありませんが、難しい問題をたくさん抱えています。まず入学する生徒数を予測できず、いつ増えるか減るか分かりません。そのため安定的なスタッフ体制をとることができないのが最大の悩みで、ボランティア無しでは維持できません。また、入学してくる生徒の学年も年齢も一定ではないため、教育内容や学園行事を容易に計画できないのです。
一方で、学園が教育の現状から見ると「珍しい」こともあり、注目されました。学校になじまないではじかれる子ども達は増えることはあっても減ることはないという教育事情が、フリースクールを求める人たちをたくさん生んだと言えます。マスコミに登場する機会も増え、フリースクールへの関心も高まりました。協力者やボランティアを希望する人達も絶えることはありません。
この学園の良さは、子どもと親の笑顔です。フリースクールを求める方達は、事情は異なっていても、これまでの学校の問題点を「嫌になるほど」感じています。いじめや嫌がらせ、教師との極端な不協和、勉強についていけず放っておかれたこと…。フリースクールには、それらがありません。人間社会ですから若干のトラブルはありますが、子ども達の心に傷を残すものではありません。
ところで、元気を取り戻して学校に復帰する子どももたくさんいますが、これには少々複雑な気持ちを禁じ得ません。「私達の役割は子どもを学校に戻してやることなのか」という疑問を感じるからです。確かにそういう一面もあります。しかし私達の教育力を貫徹できる学校をつくることができないだろうか、という新たなテーマを自分達に課してきています。フリースクールではあっても一つのれっきとした学校の地位を獲得することが私たちの目標で、今、星槎国際高等学校と提携している通信制の高等部をつくり、独立させる道を模索しています。
だけれど、そういう気持ちももちろん持っている私達です。
あの励ます会で誓った「北の大地に自由と共同の学校を」は、必ず実現できると考えています。今、少々長い道筋の途中です。
こんなボランティアを募集しています
教科を教えたり、子どもの相談相手になったりすることができる方、または何か
一芸をもっている方を来年度スタッフとして募集しています。
※2015年現在、ボランティアは募集していません。
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