朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2008年5月 松本克弘さん〜NPO法人市民と共に創るホスピスケアの会代表理事

松本 克弘(まつもとかつひろ)
NPO法人市民と共に創るホスピスケアの会代表理事

北海道出身の50歳。現職は人材派遣会社の仙台営業部部長。
1997年の当会設立時より代表理事を務める。

目次

個人史

 1956年に別海村で生まれ、教員であった父の転勤で根室管内の田舎の学校を転々としながら育ちました。海辺の町から内陸の農村へ、そしてまた海辺の町へというように移住しましたが、北海道の大自然の真ん中で幼少時を過ごしたことは振り返れば幸運だったと思います。自然の厳しさに一喜一憂しながら成長したことは、自然を自分の中の実感として丸抱えにできる財産となっています。小学校時代の複々式学級や中学校時代の寄宿舎集団生活等、現在ではほとんど経験できないことの連続でしたし、転校生としていじめにあったこともありますが、今では全てが貴重な体験となっています。釧路で高校を卒業後、東京の大学に進学し、そこで就職してからは転勤族の生活です。妻と大学生の子ども2人の4人家族です。

皆で日々勉強、話し合いをしながら進めています

 ホスピスケア(緩和ケア)の運動に加わったのは、1992年に父をがんで亡くしたことがきっかけです。当時道内で唯一ホスピス病棟を持つ東札幌病院に転院相談に行き、誰にも話せず悶々(もんもん)としていた心の内を相談室で吐露し、医療ソーシャルワーカーの方に示唆をいただいたことに感激しました。そしてホスピスの考えや取り組みが、終末期だけでなく医療そのものの基本であるべきとの思いを強くするようになりました。しかし結局本人には告知できないまま、父は大学病院入院後3ヶ月で亡くなり、ホスピスへの転院もできませんでした。家族でやれることは全てしたという思いはありますが、それが果たして本人にとって望ましいことだったかについての後悔は消えません。ですから、父にしてあげたかったことに今取り組んでいるのだと強く自覚しています。

ボランティア活動と会の発足

 その後の1994年に東札幌病院の有志が市民講座をスタートさせ、私もボランティアとして運営に加わりました。そして講座開催を重ねる中で、より広く活動するために任意団体の発足が計画され、新聞等で会員の公募をし、私が代表に就任して団体としての活動が始まりました。
活動は、講座開催と、ひまわり会という患者や家族の集いの運営が主ですが、私達の目標は大きく、「ホスピスケアの考え方を医療にとどまらない社会基盤にすること」ととらえています。医療は長く治療中心で進んできましたし、医療者におまかせの状況の中では患者の手に治療や療養の選択肢がほとんどありませんでした。しかし、これは医療者側の責任というより、専門家にゆだねて全て良しとしてきた私達が招いた結果だと自覚しました。そして医療の在り方を、患者中心・人間中心にしようとして奮闘するホスピスケアに関わる医療者に触れ、彼らと共に自分達の望む医療を創ろうという歩みが始まりました。
しかし、これはとても難しいことです。単にホスピスをたくさん造ろうという問題でもありません。病院で死ぬことが当たり前になってしまった日本では、住み慣れた自宅で最期の時間を過ごすことすら困難になったからです。夫婦共働きで夫は転勤族、子どもも少なく、介護の手がない状態では帰りたくとも帰れません。また医療が高度化して、家族も患者本人も不安で病院から出られないという思いも強くなりました。すでに社会が、人生の最期を思うように過ごせない所になってしまっていることに、私達はようやく気付いたのです。

 私達が望む医療を創るためには、まさに社会改革に取り組むといえるほどの多くの課題を乗り越えなければなりません。私達はその立て直しの道で、ホスピスケアの思想が大きな役割を果たすと考えています。ホスピスケアを社会基盤にというのは、そのことを意味しています。
もちろん会の具体的な活動は、患者と家族の方々にいかに役立つかが中心です。講座でホスピスケアの内容を学びながら、ひまわりサロンの集いを続け、会報で情報提供することは、今後も重要です。特にこの数年は、在宅ホスピスの実現の道を探っています。これは住み慣れた家で最期を過ごすための仕組みを創る活動でもあり、また、現在は、医療制度の変更によって病院に長くいられなくなってさまよう患者と家族の緊急の課題ともなってきました。私達は緩和医療に取り組む医療者のネットワークと連携し、地域での受け皿を整えたいと考えています。また今後は、市民権を得た医療の受け手側の団体として、患者と家族の皆さんの願いの代弁者としての機能も果たしていきたいと願っています。
素人集団で遅々たる歩みかもしれませんが、多くの皆さんに役立てる活動を目指していますので、活動に関心をお持ちの方は、ぜひ一度事務所にお越しください。

こんなボランティアを募集しています

事務所管理や会計、講座やひまわりサロン(患者・家族の集い)の運営、会報発行・講義録作成・ホームページ管理等にたずさわってくださる方を募集しています。

NPO法人市民と共に創るホスピスケアの会

札幌市中央区南1条西16丁目1-245レーベンビル3F
TEL・FAX:011-615-6060(平日10:00〜15:00)
メール shimin-hospice@nifty.com
ホームページ https://hospice-care.tumblr.com/

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