全国の死別者様のためのZoom交流会

2008年6月 鈴木亨さん〜NPO法人北海道グリーンファンド事務局長

鈴木 亨(すずき とおる)
NPO法人北海道グリーンファンド

事務局長。道内のとある炭鉱町で生まれる。甲子園2連覇した駒大苫小牧高の隣の高を卒業。数々のアルバイト、とある自治体職員、とある生協、失業者を経て、現在に至る。趣味なし。酒とたばこを愛するエコでない人間。

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NPOって何だろう?

 「NPOって何ですか?」「ノーパン喫茶の業界団体さ」10年ちょっと前に、私がNPOという言葉に初めて出会った時のことです。照れのない真顔で答えてくれた知人ですが、日頃の言動から察するに、冗談であることは言うまでもなく理解できました。その時は自がNPOをやるなんて想像もできませんでしたが、以来約10年、NPO組織に身を置き、事業に携わってきてしまいました。組織を立ち上げた当初は、恥ずかしながら勉強の嫌いな私は、NPOって何なのかをろくに理解もしないまま走り回っていましたし、10年経った今もよくからないまま活動しているというのが正直なところです。でも、それで困るということも特にないので、まあよいのではないかと思っています。私には特段、これといった能力はありません。でも能力がないっていいことだなあって、最近思います。何でも他人に聞くしかありませんし、よく聞くから、よくかる。また、良い人達に恵まれたり、いろんなことで助けてもらえたりします。感謝するばかりなので、謙虚でい続けるしかありません。これはタダでお金がかかりませんし、誰にでもできることですよね。

 本誌をご覧の皆さんの中には、NPOに参加してみたい、あるいはNPOを作って活動してみたいとえている方もいらっしゃるかと思います。このコーナーのタイトルは「NPOな人」ですが、どちらかというと私は「NPOでない人」なのかもしれません。世の中にはいろいろな法人形態がありますが、NPOだけが良いとは思いませんし、こだわりはありません。株式会社だって世の為にならなければ存在していけませんし、事実、NPO以上に社会に貢献している企業も少なくありません。

市民がお金を出し合って設した市民風車「はま かぜちゃん」(2001年・浜頓別町)

NPOに課せられているのは、利益を構成員に配ってはいけないということだけのようです。世の中には、決して高くない給料で社員が働いているのに、多くの利益を株主に配当したり、株価の値上がりで利益を得ている企業も確かにあります。でもその他ほとんどは中小・零細企業で、人件費や家賃等の管理費で売上げの利益が消えているところが多いのではないでしょうか。NPOだって、管理費にあてる分がないと維持できない点では同じです。逆に純利益を配当しない代わりに年収数千万円のスタッフが何人いても良いということです。こうして考えてみますと、現実にはNPOも株式会社もそう大きくは違わないのかもしれません。むしろどちらも事業をおこない、経営するという点では同じです。こんなこともありました。私がNPOを立ち上げた当初、当然給料なんか出ないわけですから、実態は失業者でした。ハローワークに行って失業手当の給付手続きをしていたのですが、「今何してんの?」と聞かれ、「NPOの理事です」って言ったら、「そりゃダメです。給付できません」と。たとえ報酬がゼロの、一介のNPOの理事といえども、社会的な法人の経営者であることが理由でした。お恥ずかしい話ですが、そんなことも分からなかったのです。

「仕事で稼ぐ?」

 世間ではNPO=ボランティアという考えの人が多い(ある意味正しいです)ため、NPO が事業、つまりビジネスをおこなうことに違和感があるかもしれません。いろいろな市民活動がありますが、その活動を一回きりで終わらせたくなくて継続しようと思うと事業にしなければなりませんし、そこには経営が生まれます。ビジネスにはお金という対価を伴うことがほとんどなので、市民にとって良いサービスを提供できなければ続きません。あたりまえのことですが、事業をするって簡単ではないのかもしれません。本誌を発行し続けているボラナビ倶楽部さんも、ボランティアという双方向の社会ニーズをマーケティングし、仲介サービスを提供しているからビジネスとして立派に継続されているのだと思います。大切なことは、何を達成し、実現したいのかという目的ではないでしょうか。組織は、考えや目的を達成・実現する為の「道具」「手段」にすぎません。事業の性格によっては、株式会社のほうが良い場合もあります。要は目的実現のために使い勝手の良い道具を選べばよいことだと思います。

小学校でも省エネ教室を開催

今から20年くらい前だったでしょうか。内山節(たかし)さんという哲学者が、日本のある地方では「仕事」と「稼ぎ」という言葉を明確に使い分けていると話していたのを聞いたことがあります。公民館の屋根を直したり、地域の清掃をしたり、地域社会の為にするのを「仕事」といい、生活の為の給料がもらえる仕事のことを「稼ぎ」と呼ぶのだそうです。今の都市社会は、身近な多くのことも市場経済の対象になっており、「稼ぎ」の割合が多くを占める社会になっているように見えます。さしずめNPO の活動や事業は「仕事」であることが多いのかもしれません。
どんな活動でも世の中のニーズに応え、ビジネスとして発展させていくのは大変ですが、それだけに楽しく、やりがいのあることです。私の所属する北海道グリーンファンドは「仕事で稼ぐ」―その域(いき)にまで挑戦したいと思います。

NPO 法人北海道グリーンファンドとは

 グリーン電気料金制度の普及※ と、風力発電事業(「市民風車」)など自然エネルギー、省エネルギーの普及促進をめざして活動しているNPO です。※グリーン電気料金制度とは、北海道グリーンファンドが、北海道電力に代わって各家庭の銀行口座から電気料金とその5%にあたるグリーンファンド分を足した金額を引き落とし、お預かりした電気料金を北海道電力に支払うものです。グリーンファンド分は、自然エネルギーによる「市民共同発電所」を建設するための基金して運用します。

札幌市中央区南1条西7丁目岩倉ビル3F
TEL:011-280-1870 FAX:011-280-1871
メール office@h-g reenfund.jp
ホームページ http://www.h-greenfund.jp/

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