朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2008年9月 森田裕子さん〜旭川NPOサポートセンター事務局長

森田裕子(もりたひろこ)

旭川NPO サポートセンター事務局長

老人給食や子育て支援、女性起業支援など市民事業に関わった経験から、社会問題の解決にとって必要と感じ、2000年に旭川NPO サポートセンター設立発起人となる。

目次

市民活動を始めるきっかけ

 結婚して3人の子どもが生まれたのは良かったのですが、長男と次男が2人ともアトピー性皮膚炎ということがわかり、毎晩、体をかきむしり泣き叫ぶ姿に辛い思いをしました。病院通いをしながらも、ステロイド剤から何とか開放されたいと模索をしていたときにたまたま知り合ったのが、無農薬の野菜を栽培したいと本州から移住してきた農業者の方たちです。それから畑ぐるみのお付き合いが始まりました。これまで農薬とか環境とかにまったく関心のなかった私が、子どもの病をきっかけに食や環境など社会問題に目を向けるようになったのです。そして、徐々に子どもたちが手を離れるにつれ、何か社会貢献的な仕事をしたいと考えるに至ったのは自然の成り行きでした。とはいっても能力もない、お金もない、地位もない女性ができることって何だろうと考えていたとき、友人が消費生活アドバイザーという仕事があるので試験を受けないかと誘ってくれました。どちらかというと怠け者の私ですが、毎晩子どもが休んでからテキストをめくる日が続きました。

 その甲斐あって1年後の試験には合格しましたが、旭川のような小都市では就職口を見つけられず、勉強をさせてもらうつもりで消費者協会に入会しました。その後、1992年に上川支庁の消費生活相談所で相談員にならないかというお話があり、やっと資格を活かせる仕事に就くことができました。日々消費者からの苦情に対応しているうちに、高齢者からの相談が多く、また被害額も大きいということに気がつきました。息子や娘は就職で都会に出ていて、残された親は一人暮らしの淋しさから、つい親切そうな訪問販
売員を家の中に入れてしまい、次々と高額な商品を購入させられるというパターンです。こうした一人暮らしのお年寄りが被害にあうのを避けるために何かできないかと考えてたどり着いたのが、毎日さりげなく老人の見守りができ、バランスの良い食事も提供できる老人給食の宅配でした。

NPO の設立と今後

 当時、私の父は茨城で脳梗塞に倒れ、寝たきりの状態でした。父の再婚相手は元看護婦で介護はお手の物ですが、食事の世話が十分ではない状況でした。私は、遠くに住む自分の親にはできないけれど、近くの同じようなお年寄りのために食事を宅配したいと考え、友人と様々なところに交渉に行きました。話がうまく進まず、やっぱり無理かと諦めかけたとき、全労済の助成を受けられることが決まったのです。またその頃、松岡さんという84才のひとり暮らしの女性と知り合い、彼女の好意で自宅を私たちのために
食堂と調理場に改築していただくことができました。そして96年に、老人給食食工房「花きゃべつ」の活動がスタートしました(松岡さんは一昨年93才で亡くなりましたが、生涯忘れられない人です)。
人件費を出すことができないのでボランティアを募り、家賃などの必要経費を差し引いてなお残りがあれば、働いた時間に応じて謝礼として払う方法にしました。当初は時給80円前後、一日びっしり働いても600円程度とガソリン代も十分には支払えませんでしたが、「年寄りを食い物にして金儲けをしている」などと陰口を叩かれたりもしました。でも確実にニーズはあり、徐々に宅配件数は増えていきました。
企業は利益が出ないのでビジネスとしてはやらない、行政もコストがかかるのでやらないこうした事業を市民が行うことが、これからの地域社会にとって必要になると確信しました。

サミット記念農産品直売夕市

 そんなときにNPO(非営利組織)という言葉を知り、「私のしていることはNPO 活動なんだ」と理解することができました。また、私たちが主催した「女性の起業講座」で市の職員やNPO に関心のある方々と出会い、さらに、講師でいらした現北海道NPO サポートセンターの小林事務局長にも背中を押され、1999年に旭川NPO サポートセンター準備会を発足し、2000年には法人格を取得して現在に至っています。
当センターは、地域課題に対して市民の持つ力を最大限、地域や社会で活かし、市民が住みよく暮らしやすい社会を築いていくためにできることはないかと日々模索しながら活動を進めています。遅々とした歩みで社会に劇的に大きな変革をもたらすことはできないかもしれませんが、やがて小さな波が少しずつ地域に広がり、大きな波になって人や社会が変わっていく源になれれば大変嬉しいです。

こんなボランティアを募集しています

旭川NPO サポートセンターがイベントを開催する時にお手伝いしてくださる方や、サポートセンターに寄せられる旭川近辺の団体からのボランティア要請に応えてくださる方を募集しています。

NPO 法人旭川NPO サポートセンター
旭川市7条通13丁目60-8ウォーム713 102号室
TEL&FAX:0166-74-4180
ホームページ https://asahinpo.jp/

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