朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2009年5月 向井和恵さん 〜市立札幌病院ボランティアの会「やさしさ・ジェントル」 ボランティア・コーディネーター

向井 和恵 (むかい かずえ)

市立札幌病院ボランティアの会「やさしさ・ジェントル」 ボランティア・コーディネーター
英会話力などを生かして、様々なボランティア活動を行ってきた。現職の他、北海道病院ボランティアネットワークの会長も務める。留萌出身。65歳。

目次

生い立ち

 私は6人姉妹の末娘として生まれました。父は、本や文具、不動産などを扱う店を経営する傍ら、町の消防団の団長を務めていました。そのため、家には常に消防用の服が着る順にかけられていましたし、消防車を寄付したこともあったようです。母は読書家で、お店でお客さんに本を説明するのも上手でした。そして、父も母も、遠方から来た人なら親しくなくても家に上げ、食事をだしたりお風呂を沸かしてあげたりしていました。私のボランティア精神は、この両親から自然に吸収したものと思っています。

病院内で開催しているコンサート

 私は高校までは地元にいましたが、姉の影響もあって大学は東京にしました。教授に「あなたは、国内より海外で活躍するタイプ」と言われたことや、両親が許してくれたことから、卒業後、バイトをして貯めたお金を持って海外へ出発しました。フランス、イタリア、ドイツ、スイスなどヨーロッパ8ヶ国、13都市に、それぞれ3〜6ヶ月、あわせて4年ほど滞在しました。向こうでは、教授から紹介された大学で講義を受けたり、いろいろな国の学生たちと議論を交わしました。当時は1ドル360円で、日本は小さくて貧しい国、地図にも載っていないのではないかと思われていた時代です。滞在中は時間がもったいなくて、毎日4時間くらいの睡眠で、その土地の自然や文化を堪能したり、様々な人たちに会いに行ったりしていました。

 またすぐにイタリアにでも行こうと思いながら帰国しましたが、大学の同学部で同じ道産子の男性と結婚。札幌で一男三女をもうけ、姑とも同居し、思いがけず専業主婦となりました。

あふれ出すエネルギーとともに

 でも、性分で家に閉じこもってはいませんでした。在札の外国人と友達になり、医者にかかる時に通訳をしてあげたり、食品の安い店を一緒に探してあげたりしていました。勤めに出ることはあきらめていましたが、生徒が来てくれる形なら働けると考え、子どもたちが小学校に上がると自宅で英会話教室を開設し、たくさんの生徒さんに来ていただくようになりました。家庭と仕事で大忙しでしたが、札幌市の通訳ボランティアに登録したり、外国人のホームステイを通算100人以上受け入れたり、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)のボランティアコーディネーターを務めたりしました。在札外国人のお世話やホームステイの受け入れは、うちの子どもたちにもいい刺激になっていました。子どもがいてもできるボランティアの一つかもしれません。

 1995年、市立病院からボランティアを導入したいという話が出て、私に病院ボランティア・コーディネーターにとのお声がかかりました。大勢の方が参加してボランティアグループが発足し、会の理念には「やさしさ」を掲げました。やさしさは誰の心にも宿り、自身で他人に与えることができ、逆に自身が他から受けることもあります。それはみなが体験することで、人らしく生きていくための潤滑油になっているので、会の名前も「やさしさ・ジェントル」としました。カタカナも使ったのは、国際化を意識しています。私たちはこの名を座右の銘とし、「やさしさ」を実行する心を次の世代に伝えていきたいと毎日頑張っています。

 今、ある大学で国際ボランティア組織論の授業を担当しています。若い人たちには、時間の使い方や、恥を恐れずに自分の考えを素直に話すことや行動することの大切さなども話しています。出発点が完璧である必要はありません。最初の一歩を思いきって踏み出したほうが良い場合が、多々あると思っています。

園芸活動は環境省に表彰された

 私は今もよく海外に行きます。目的の一つでもあり楽しみなのは、それぞれの土地で病院ボランティアを視察することです。最近訪れたのは、北米やハワイ、台湾、タイで、どの国にも活躍するボランティアの姿がありました。ボランティアの奥深さ、素晴らしさを常に感じています。私は日本で、ボランティアに関心を持ちながらも踏み出すことを躊躇している人たちの背中をそっと押してあげたいと思っています。とはいえ、何事も健康第一。数年前、やさしさ・ジェントルの事務所で活動中に具合が悪くなって倒れました。くも膜下出血でした。名医がすぐ近くにいる環境のおかげで、後遺症もなく奇跡的に回復しましたが、50日間ダウンしました。目下、ジムで身体を鍛えています。

こんなボランティアを募集しています

ホールで患者さんや来院者のお手伝い、季節にあった展示や催しの企画、花壇造り、小児科病棟で紙芝居の実施など、多岐にわたる病院ボランティア活動を行っています。資格は一切必要ありません。10〜90代の方が活動しています。関心のある方は、お問い合わせください。

市立札幌病院ボランティアの会「やさしさ・ジェントル」
札幌市中央区北11条西13丁目
メール gentle@eagle.ocn.ne.jp
TEL:011-726-2211

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