7月はイベントを10回開催しました。

2010年7月 中津邦仁さん〜NPO法人札幌室内歌劇場 理事

中津 邦仁(なかつ くにひと)

NPO法人札幌室内歌劇場 理事

1957年東京生まれ。演出家。大学時代からの演劇熱が高じ、フランス留学。帰国後はひょんなことからオペラの演出家に転身。各地のオペラ公演で演出を行い、1990年、「札幌室内歌劇場」の前身「アナリーゼによるオペラ表現研究会」を設立。

目次

オペラは総合芸術

 初めて舞台の演出を考えたのは、中学生の頃でした。たまたま観たミュージカル映画を、学校の体育館で上演できないかと考え、プランを練ったのです。そのときから舞台芸術に惹かれ、大学の演劇研究会で虜になりました。以来、新劇、舞踏、能など色々経験し、最後に「オペラ」にたどり着きました。オペラには「総合芸術」であるという魅力があったからです。

 総合芸術とはどういうことかというと、作品の中に演劇も歌もオーケストラも、絵画も造形芸術もコスチュームデザインもあるということです。外見的にはミュージカルだって同じように総合芸術です。しかし「総合芸術」という言葉のより本質的な意味は、創る側が多様な芸術的要素を考慮しなければいけないということです。演劇ならば、少なくとも演じる人と見る人さえいれば成り立ちます。しかし、オペラだとそれでは足りないのです。簡単に言えば、オペラは「一人ではできない」という、至極当たり前のことではあるのですが…。

一人ではできない。それは作品ができあがってからも同じです。上演するその時に、観客、つまり他者が必要なのです。そのことに気づいた瞬間、私の思いは劇場から社会へと広がり始めました。どうして観客はオペラを見に来るのか? あるいは見に来ないのか? その人が生活している状況はどういうものなのか? 作品を観てもらいたい私としては、そうしたことを考えずにいられません。そしてさらに、私たちの舞台はその人にどのような影響を与えたのか、つまり、自分たちのやっていることには意味があるのか、という重要な問題として返ってくるのです。そして、日常生活とは隔たった世界であるかのように思われている芸術が、実は世の中とは不可分の、むしろ社会がなければ成り立たないのだという本質にたどり着きます。「孤高」という芸術家のイメージは、もう昔のものになったと思います。もう一人ではできないどころか、一人ではいられないのです。

芸術家、街へ出る

 近年、法人になる芸術団体(アートNPO)が増えてきました。NPO 法ができた当初は、誰が入会するか分からないとか、独自性が無くなったら困るなど芸術団体があえて法人になるメリットが見つけられない様子でした。しかし、社会の健全化や活性化の手段として芸術が取沙汰されるようになり、また芸術家の側も創造活動の延長として地域コミュニティに関わるようになったことで、急速に法人が増えてきたのです。市民や地域との関係の中に芸術の意味を見つけようという「コミュニティ・アート」や、より直接的な効果を求める「芸術療法」など、これまでは反社会的な美しささえ求めてきた芸術自体も、一人ではできないことの自覚と、自分たちの活動の意味を確かめようと、社会化してきているのだと思います。

 私もまた、札幌室内歌劇場の事務所移転を通じて(芸術という大問題に比べればささやかなことですが)、芸術の社会化を実感することになりました。移転した場所は、廃校を改装した「あけぼのアート&コミュニティセンター」。その名の通り、芸術系の団体や活動にスペースを貸す施設です。団体には地域向けの催しを実施することが求められており、交代で展示会やパフォーマンスなどを行います。私たちはこれまで、その都度ホールを借りて広範囲で不特定な観客を対象にしてきたので、施設の方針に従って地域の身近にいる人たちに提供する作品を考えることに悩み、自分の発想の乏しさに愕然としてしまう程でした。「音楽が聞きたい」「オペラが観たい」ということならすぐに対応できますが、ここでは生活に根ざした要求に応えることが求められているからです。一人ではいられないし、一人でいないということも難しいものです。

 実は、引っ越しの半月前に、新国立劇場でオペラを上演しました。それは、札幌で20年間育んできたオペラ作りが日本最高峰のオペラ劇場に通用するかという試練でもありました。幸い、たくさんの拍手を頂き、多くの評論家の俎上に載ることができたのですが、かえって地元札幌で作品を発表し続けることの意味を再考する強烈なきっかけともなりました。

 現政権は不況の中でも、文化・芸術によるコミュニケーション教育に注力するようです。コミュニケーションは芸術の大切な要素、特に舞台芸術が得意とするものです。これから社会と芸術の蜜月が始まるのでしょうか? あるいは、対立しあうのでしょうか? 先行きは分かりませんが、互いにより強く影響しあうのは確かでしょう。芸術がその本来の「力」を発揮したり、新しい芸術が生まれてくる予感がします。私は活動を続け、その時を迎えたいと思ってます。

 今、時代も社会も芸術も一つの方向に向かっていて、私にはそれに参加する機会が与えられているようです。総合芸術であるオペラを、新しいアイデアによって「社会との総合芸術」と言えるようなものにできればと思っています。

ボランティアおよび寄付募集中

公演の受付まわりはいつも人手不足です。劇場に来たお客様に最初に接する大切な仕事で、ここの印象が舞台作品に影響します。お客様に丁寧に接してくださる方を求めています。また舞台公演は、チケットを完売しても、それで補えるのは経費のせいぜい50パーセント。世界中の多くの舞台芸術団体がそうであるように、常時寄付金を募集しています。

NPO法人札幌室内歌劇場
TEL:011-211-0471 FAX:011-211-0472
〒064-0811 札幌市中央区南11条西9-4-1 あけぼのA&C センター14号室
ホームページ http://www.opera.or.jp/
(E メールはホームページのお問い合わせフォームから送ってください)

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