朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2010年8月 中村佳子さん〜NPO法人公園ネットワーク

中村 佳子(なかむら けいこ)

NPO法人公園ネットワーク 代表理事

1960年東京生まれ。札幌に来て19年、しっかり「江戸っ子」から「道産子」に生まれ変わりました。旦那と3人の子どもたちに振り回される日々。それでも今年、長女が成人し、自分も気持ちを新たに頑張っています。

目次

いい加減なすべり出し

 小さい頃は「フーテンの寅さん」で有名な東京・葛飾の公園で、ザリガニやタニシを取って遊んでいました。水元公園と名前は付いているものの、池と川と菖蒲田(しょうぶだ)のある空き地といった感じの所でした。学生時代を終えて、「公園の設計」という職業についたのですが、子どもの頃のことを忘れ、公園を利用する人たちよりも、「かっこいい設計」や「遊具のデザイン」にこだわって仕事をしていました。そして親になり、子どもと公園に行くことになって初めて、そこには遊ぶ子どもと親、散歩をするお年寄りなどの「使う人=主役」がいることに気づいたのです。恥ずかしい話ですね。

 子どもが生まれてすぐ札幌に来て、友達も知り合いもいない中、子どもを連れて公園に行くことが日課でした。そこで知り合ったお母さんたちと子育てサークルを作り、春から秋は毎週1回公園に集まって、子どもたちと一緒の楽しい遊びを考え実行していました。公園で遊ぶ親子と接する中で、「この人たちは公園を使うプロなんだな〜」と感じました。そして私も、設計の仕事をしていた時とは違う視点で公園を見るようになっていました。2人目の子どもが生まれた頃、もっと子育て中のお母さんの話を聞きたくて、「公園アンケート」を実施しました。このアンケートには、たくさんのお母さんたちが、絵入りや長い文章で公園への想いを綴ってくれました。これは今でも私の宝物。そして、これが「公園ねっとわーく」
の活動の始まりかもしれません。その後、公園の利活用検討会議に参加したり、区のまちづくり市民会議に参加したりして、「利用者」として公園を考えていく必要性を感じました。そして2001年、一緒に「公園からまちづくり」を考えてきた市民会議のメンバーと共に、公園ねっとわーくを立ち上げました。市民活動とかNPO とかよく分からないまま、「自分たちの想いを人に説明するには何か名前が必要」、とそのままの名前をつけた、いい加減な会の始まりです。ちなみに、「いい加減」は私の一番好きな言葉です。

子どもより真剣に遊ぶ

今は公園で怪我をしたりすると、大変なことになるようです。我が家の前の公園でも、たくさんの子どもたちがスリルのある遊びに挑戦し、あっと思うと、遊具から落ちて泣いています。そんな時、遊具があることが悪いかのように管理者に抗議をする親も…。柵が外れて落ちたのかと思いきや、上ってはいけない所に上って落ちた、いわゆる自業自得。まずは子どもたちがどんなことをして遊んでいるか、一緒に遊びながら、見守りながら、危険というものを教えることが必要です。昔はガキ大将の近所のお兄ちゃんがいて、遊び方や危ないことを教えてくれました。小さな怪我は、大きな怪我に繫がらないための勲章でした。ところが今、異なった年齢の子どもが一緒に公園で遊ぶ機会は少なくなり、いきなり大きな怪我や他人に危害を加える行為になっているようです。私たちは「公園」が色々なことを学ぶ場となることが必要と考えています。

 その1つとして、子どもに公園で遊ぶことの楽しさを伝えようと「公園忍者遊び」を行っています。人気なのが「チャンバラごっこ」。ここでの一番の収穫は、やっている大人の自分たちがとっても楽しいこと。「大人気ない」と言われるかも知れませんが、大人対子どものチャンバラごっこで負けたときは本当に悔しい。やってみるとわかる、というのが皆の共通の声です。忍者ごっこに来てくれたあるおじいちゃんは、1回目は腕を組んで見ていました。2回目は、新聞紙で作った剣を片手に構えていました。いよいよ3回目、なんと剣を両手に二刀流で、子どもたちと戦っていました。そんな大人に、子どもは真剣にかかってきます。遊びだけど真剣。年齢を超えた子どもたちのチームワークもでき上がります。そんな時、子どもたちの目は輝いています。子どもたちの外遊びの必要性を、お母さんやお父さんたちに分かっていただきたいと思います。

 最近の小学生の親へのアンケートで、子どもに行かせたくない場所を問うと、具体的な公園名が多く返ってきます。そう、公園は、もはや安心して遊べる場所ではないのですね。一方、少子高齢化の世の中で、お年寄りが青空の下、外に出て過ごす場としての公園の役割は大切です。そして今、ガーデニングがブームです。それならば、地域のお年寄りが公園の花壇でいつも花いじりをしていたら、子どもたちは安心して公園で遊ぶことができるのでは。公園にたくさんの大人の目があれば安心。さぁ、地域のおじいちゃんおばあちゃんの出番です。「異世代交流」なんてカッコイイものではありませんが、子どもたちの
成長に必要な公園での遊びを、地域のお年寄りが花をいじりながら見守り、自分たちも健康になる…そんな楽しい「まち」を作っていけるように、私たちは公園を使った楽しいことをたくさん考えていきたいと思っています。

 公園ねっとわーくはこの他に、公園の困ったことを一緒に考えたり、知りたいことを勉強したりなど、「公園」「楽しむ」をキーワードに幅広く活動しています。ぜひ活動に参加してみてください。 

ボランティア募集中

・色々な公園で行う「公園忍者遊び」で、「忍者」になって子どもたちと一緒に
遊んでくれる人。
・自分の地域の公園で、花や緑を育てるボランティアをしてみたい人。
・その他、地域にある公園のことを考えるお手伝いをしてくれる人。

NPO法人公園ねっとわーく
メール kouen_net_com@yahoo.co.jp
TEL:090-8630-7737 FAX:011-791-9417
札幌市東区東苗穂12条3丁目

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