朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2011年9月 山中明美さん〜企業組合ワーカーズコレクティブ仕出し弁当かまら〜ど代表理事

山中 明美〜(やまなか あけみ)
企業組合ワーカーズコレクティブ仕出し弁当かまら〜ど代表理事

1968年仙台生まれ。地元の高校を卒業後、中国に渡り、北京語言学院、北京海淀区料理学校に1年ずつ通う。帰国して仙台のホテルに2年間勤務。03年より当会(当時、任意団体)で働き、06年より代表。09年に企業組合にした。

目次

本場中国で料理を学ぶ 

 私の寡黙な父と世話好きな母は、仙台駅近くで40年間定食屋を営み、休みなく働いています。私が幼少の頃は近所には長屋が連なっていましたが、今はマンションが立ち並んでいます。でも店に来るお客さんは変わることなく、毎日顔を出す近所のおじさん、おばさんのほか、学生、オフィス街で働く人、子育て中のママなどが来てくれます。学生の頃に通ってくれていた方々が集まり、閉店後もここでそのまま飲んでいくこともあります。今回の震災では避難所の役割も担い、町の人たちの食を支えました。

 私が高校2年のある日、たくさんの留学生が、いつものごとく飲み会の会場となったうちの店にいました。たまたま私の将来の話になり、「高校卒業後はどうするの?」と聞かれたので「父のような調理師になりたいから大阪の専門学校へ行く」と答えると、中国人留学生が「中国料理は世界一だから、中国においで」と言いました。私は思わずうなずき、その日から中国へ出発するまでの1年間、中国語と中国料理を猛勉強しました。

 高校卒業後すぐに北京に発ち、語学学校で中国語をさらに1年間勉強しました。留学生活は楽しく、学生は色々な国から集まっていたので、週末は中国国内旅行かパーティーに忙しい毎日でした。タイ、モロッコ、チュニジアの友人が多く、彼らから各国の料理を教わりました。翌年、料理学校に入学すると、一転して私だけが外国人で、他の人はみな母国語として中国語を話す中国人。料理の説明、栄養学、中国料理の歴史まで授業全てで辞書を離せませんでした。調理実習では半年間、北京のホテルで勉強させていただき、中国料理の素晴しさを堪能しました。一流の調理師の先生から毎日北京ダックや宮廷料理の手ほどきを受けたので、20kg は太りました。日本では味わえない世界一の中国料理と中国の家庭料理、そしてたくさんの国の料理を勉強できた二年間の留学生活は、私だけの貴重な財産です。

子育てしながら、意思を持って働く

 帰国後はホテルで働き、結婚し、1993年に夫の転勤で北海道に移り住みました。憧れの専業主婦になったものの、子どもを3人産んだ後は家の中でじっとしていられず、また調理の仕事を始めました。両親の助けを得られない子育て中の母親が仕事をするのは大変で、突然発熱した子どもを職場の休息室で寝かせながら働いたり、子どもの行事に参加するために夜中まで残業したりし、女性が働くことの辛さが身にしみました。2003年、友人の紹介で「かまら〜ど」を知り、それまでのとはまったく違う「ワーカーズ」の働き方に出会いました。ワーカーは出資金を払い、自分の意思を持って経営に参加し、地域のために働く、もうけ第一主義ではない働き方です。子育て真っ最中で子どもたちの発熱が一番恐ろしかった私にはありがたく、安心して働けました。また、調理をする側と食べる側双方の安心安全をうたっていて、食材は生活クラブの調味料、なるべく地場の野菜、肉は世界一のブランド肉、平田牧場のものを使い、魚は自分でおろして味付けします。全て手作りが基本!! それまで働いていた所では冷凍品と半加工品を使うのが常でしたが、普通に手作りすることを貫けます。気持ち良く調理できて、とても嬉しいです。

 毎月のミーティングは中身が濃く、経営について全員でアイディアを出したり、調理法や色彩について、時にはデパ地下の惣菜を買って来て研究したりします。メンバーとの会話は楽しく、気持ちが落ち込んでいる時などは本当に助けられています。

 私が「働くこと」にこだわり続けられるのは、家族の協力があってのこと。主人と3人の子どもたちには感謝しています。急な仕事が入れば、家に帰れなかったり、子どもたちが目覚める前に出勤したりする日が続きます。母親業は手抜き放題なのに、嫌な顔一つせず「今日は寝なよ!!」とふとんを敷き、食事を作って気を使ってくれます。家族って、本当にありがたいです。

 私たちの配食サービスを受けるお客様は独居で、淋しく不安な気持ちを抱えて生活している方がほとんどです。私たちとの会話を最期に亡くなる方もいます。「一人ではありませんよ」とメッセージを送りながら、近所の見守り隊としてお食事を届けたいと思っています。

 かまら〜どが白石に生まれてもうすぐ20年、やっと成人です。たくさんの方に育てていただいたおかげで今があります。私たちがこだわり続けた「安心」に協力してくださる長沼の農家の方々、私たちのサービスを利用してくださる個人やNPOの方々に、これからは恩返しする側になりたいと考えています。世話好きワーカーを増やし、個別対応を基本に今まで以上に利用者の方々の健康状態を把握し、おいしく召し上がっていただけるようにしていきたいです。

メンバー募集

私たちのワーカーズで一緒に働きませんか。関心を持たれた方は、ご連絡ください。
企業組合ワーカーズコレクティブ仕出し弁当かまら〜ど
TEL:011-846-8464 FAX:011-846-8470 
札幌市白石区本通4丁目南8-27 
http://kamarardo.web.fc2.com/

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