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2011年10月 谷井貞夫さん〜NPO法人北見NPOサポートセンター理事長

谷井 貞夫(たにい さだお)
NPO法人北見NPOサポートセンター理事長

1955年北見市生まれ。1979年日本鋪道(株)に入社。退社後、2002年に北見NPOサポートセンター設立。オホーツク地域のNPO活動推進のために活動している。

目次

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バリバリ企業人がNPO業界に参入

 23年間勤めた建設会社を辞めてNPO業界(このような名称はありませんが)に移り、ちょうど10年になります。十年ひと昔の言葉通りそれ以前がずいぶん昔にも、ついこの間にも感じます。いずれにせよ10年間よく持ちました。私は高校時代は文系で、経済系の大学を受験しました。落ちて予備校に申し込む際、文系コースが満員だったので理系コースを選択し理系友達が増え、自分も同じところに行く気になり工学部を受験、合格しました。適性なんて、やってみなけりゃ分からないというのが実感です。大学時代は「文系土木」を自認し、周りのメンバーに助けられてなんとか単位を取っていました。一方で私はメンバーが困っていることを解決するのが得意で、なんとなく私の周りに友人たちが集まっていました。

 卒業後に入社した建設会社では、日夜バリバリ仕事に励みました。学生時代の延長のような感じで周囲の力を結集し、ゼネコンの所長として全国を走り回って道路建設工事をし、「天職だね」とよく言われました。仕事環境は大変厳しかったのですが仕事に楽しく向き合い、目標に向けて現場の人たちを引っ張っていくのが自分の性格に合っているなと感じていました。自分の作った道路が地図に残り、社会の役にたっていると実感できてやりがいがありました。

 (結局は会社員時代の最後となる)2年間は、労働組合の委員長を務めました。ある時「『やりがいのある仕事、生きがいのある仕事』と組合は言うが、具体的にどんな仕事なのだ?」と質問されました。私の口から出た言葉は「人に評価される仕事にはやりがいが、人に感謝される仕事には生きがいがあります」でした。自然と出た言葉でしたが、これが心に引っかかりました。「今のままで、自分の言った仕事が本当にできるのか」という思いが日増しに強くなり、なにか別の道があるのではと思うようになりました。

NPOの成功を願って小さな成功を積み重ねたい

 ある日「千葉県の駅前でNPOが活動開始」という新聞記事を見つけ、「NPOってなんだろう」と思い現場に行ってみました。ボランティア団体のようなものを想像していたのですが、話を聞くと非営利法人とのことで、儲けがなくてやっていけるのか疑問に思いました。その後NPOについて調べていくうちに、「これからの時代に必要な存在では」と考え出し、とうとう長年勤めた会社(と10年におよぶ単身赴任生活)に別れを告げて北見市に戻りました。

 まずは任意団体として北見NPOサポートセンターを立ち上げ、市民にNPO活動を知ってもらうための「ワンコイン市民活動講座」や、私が企業出身者であることを活かした「コミュニティビジネス講座」などに取り組みました。でも資金の集め方やNPO活動の資金源がよく分からず、最初の3年間は大変苦労しました。持ち出しも多く、家族は大変不安に感じていました。なんのためにやっているのか疑問に思うこともたびたびありました。しかしどのようなことも厳しい時期が必ずあるとは理解していたので、「本当に必要なことなら、どこかのタイミングで変化は起こるだろう」と思っていました。先行する「北海道NPOサポートセンター」や「旭川NPOサポートセンター」の事業を参考に、最近なんとか軌道に乗ってきたところです。

 「なんで儲かりもしないことで、こんなに苦労しなければならないのか」と悩むときには、ある人からいただいた本が私の支えとなります。ピーター・ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ――歴史が見たことのない未来がはじまる」です。本書は「21世紀はNPOが重要な役割を担う」と結んでいます。確かに現在の世界の流れ、日本の流れはその方向に向かっていると感じます。日本の一地方にいても、その流れや意味を周りの人たちに伝え、一緒に考えていきたいと思います。

 現在、道内の多くの中間支援NPOが指定管理者になっていくなかで、民設民営の私たちの組織をどのように維持運営し、存在価値を作り上げていくかが課題です。安定した基盤をつくるための事業構築に、私にはまだまだ奮闘する日が続くでしょう。そんな中、取り組んでいる大きなテーマに「共生型地域社会の実現」があります。人口が急速に減り、合わせて高齢化・少子化も進む中で地域コミュニティを維持していくには、従来の効率・能率重視だけでは対応が難しく、多様性に応じられる仕組みが必要です。私たちが事業提案や人材確保等をになって厚生労働省の交付金を活用して建設し、障がい者・高齢者・子育て支援などのNPO法人が連携して運営する共生型施設が北見市内に6ヶ所あります。ここ2〜3年で相次いで完成し、まだ充分に機能していない部分もありますが、活動拠点が充実したことでNPOに対する認知度が大きく向上しました。各法人の支援を十分に行い、小さな成功を積み重ね、NPOが爆発的な成長を遂げることを願っております。

 今、自分がNPOの仕事をしているのを、なんとも不思議に思うことがあります。以前はボランティア活動に関心がなく、福祉関係はまるで知らず、ひたすら会社の利益実現を目指していました。自分が大きく変わった実感はあまりありませんが、人からは大きな転身とみられているようです。

NPO法人北見NPOサポートセンター

メール k-npo-sc@sea.plala.or.jp
TEL:0157-22-2055 FAX:0157-33-4731
北見市北4条西3丁目3
facebook https://www.facebook.com/kitaminposupportcenter/

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