朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2012年5月 加納尚明さん〜一般社団法人プロジェクトデザインセンター代表理事

加納 尚明(かのう なおあき)
一般社団法人プロジェクトデザインセンター代表理事

1961年京都市生まれ。1989年結婚を機に札幌に移住し、北海道総合通信網に勤務(2006年に退社)。2000年NPO法人札幌チャレンジドの活動に参加(2006年より事務局長)。2008年から3年間、任期付職員として札幌市に勤務。2011年4月から現職及び札幌チャレンジド事務局長を兼務。趣味はマラソン。

目次

人生を変えた一冊の本

 あなたの人生を変えた本ってありますか?「プロップステーションの挑戦」(竹中ナミ著)−−この本が私のNPOな人生の始まりでした。障がい者がITを活用して働き、納税者になる社会を創ろうというセンセーショナルな本です。2000年7月、当時38歳だった私は友人の勧めで読んで感動し、『自分もこういう活動がしたい!』と心を揺り動かされました。

 その二日後、北海道新聞に、障がい者にパソコンやインターネットの使い方を教えて、社会参加と働くことを応援する市民団体「札幌チャレンジド(札チャレ)」が設立されたと載っていました。直ぐに札チャレに連絡し、ボランティアスタッフとして活動に参加しました。なんとも偶然ですが、きっと私の人生には必然だったのでしょう。スタッフは皆それぞれ本業を持っていたので、夢はいろいろありましたが、一つずつ活動を創っていきました。よく深夜まで議論しました。ボランティアさんや企業・行政の方などたくさんの協力があって順調に活動は拡がり、事業規模は年々拡大しました。

 本業の企業では営業をしていて、帰宅はたいてい夜遅く。それからの時間や休日に札チャレの仕事をしていました。他の市民団体にも友人が増え、彼らの助成金申請書作成も手伝いました。そんな忙しい日々の中、会社の仕事も充実していて、ある年に社長賞10万円をもらったので、市民団体メンバーの飲み会でパーっと使ったことも楽しい思い出です。みんなに「本業もちゃんとやっていたんだね」とからかわれました。働き盛り世代の私が市民活動に熱心だったことがとても珍しく、『本業がクビにならないか?』と心配してくれていたんですね。

 そんな私でしたが、札チャレと会社の両立に限界を感じ、このまま進めばどちらにも迷惑がかかることを懸念するようになりました。『サラリーマンを20年やったから、次の20年はNPOで飯を食おう!』と決意し、2006年に会社を退職して札チャレ事務局長に専念しました。振り返ると、ここから私のNPOな人生は新たな方向に進んでいきました。先のことはほんとうにわからないものですね。

NPO な人生の第二幕へ

まず私は、障がいのある人がインターネットを活用して働くために、仕事の開拓に企業を訪ね歩きました。札幌には「サッポロバレー」と呼ばれるIT企業がたくさんあります。会社に勤めていた頃の人脈もあって、札チャレのミッション(使命)を伝えていきました。多くの企業に親身に話を聞いていただき、パートナーとして一緒に仕事をさせてくださる企業が一社ずつ増えていきました。

 そんな札チャレと企業の協働の姿が札幌市役所に届いたのか、3年間の任期付職員として「企業の社会貢献活動のお手伝い」と「事業型NPOの育成」を担当してほしいと札幌市から声がかかりました。いろいろ考えましたが、行政の立場で仕事を経験できるチャンスは二度とないと思い、お引き受けしました。

 札幌にはたくさんの企業があります。社会貢献について、それぞれの企業の想いや課題を知らないと何もできないと考え、まずは札幌証券取引所に上場している企業を全て訪問し、話を聞かせていただきました。みなさん、地域の役に立ちたいと考えておられましたが、多くに共通する悩みは「どのようにすれば良いかわからない」「一社だけではなかなか具体的な活動ができない」でした。悩みごとは、一人で悩んでいても解決しません。企業同士が行政を交えて悩みごとを話し合い、情報を共有する場があれば解決することもあると考え、2008年に札幌市として「札幌企業市民活動研究会」を立ち上げ、それぞれの企業が社会貢献活動を考える場を創りました。また、企業の社会貢献活動のパートナーとして市民団体に橋渡しすることにも力を入れました。多くの市民団体は、企業に人脈や接点を持っていません。企業と市民団体それぞれの強みを合わせると、素敵なことがたくさんできます。3年間で約60件の橋渡しをして、企業や市民団体の方々に喜んでいただけたことが、私自身の大きな喜びと励みでした。

 2011年3月、3年間の任期を終了し、『さあこれからどうしよう?』と考え、出した結論が非営利型の一般社団法人プロジェクトデザインセンター(ProDeC)の設立でした。「市役所でやってきたことを民間の立場でもっと進めていきたい!」「新しい公共には企業の力が必須だ!」「持続可能な社会を創るためのプロジェクトマネジメントができる人を育てたい!」そんないくつかの想いを込め、新たな団体を仲間と共に設立しました。

2011年プロジェクトデザインセンターの合宿研修

 私のNPOな人生の第一幕は、会社員と札幌チャレンジドの掛け持ち、第二幕は札幌チャレンジドとプロジェクトデザインセンターの掛け持ちになりました。人は生きていると、様々な出逢いやできごとがあります。それらが人生を次なるステージに導いてくれます。現在50歳のNPOな人生の第三幕、第四幕がどう展開していくのかまったく分かりませんが、『自分が楽しく、みんなも楽しく、社会のためになることをして飯を食う』という人生を歩みたいと思います。

ご相談ください

社会貢献をお考えの企業の方は遠慮なくご相談ください。その企業の本業を活かした社会貢献活動を一緒に考えさせてください。

一般社団法人プロジェクトデザインセンター
札幌市中央区南1条西24丁目1-11 LEADビル3F サッポロエネルギーゲートウェイ内
メール info@prodec.jp 
ホームページ  http://prodec.jp/

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次