下川原 清美(しもがわら きよみ)
NPO法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび理事長
1952年札幌生まれ。札幌市消防局を2007年に早期退職(54歳)。退職後にNPOを立ち上げ、在職時の救急業務の経験を生かした福祉有償運送事業、ボーイスカウト活動など永年のボランティア活動を生かした地域交流支援事業のほか、運転者講習事業や生活支援事業を行っている。
前職の経験を生かして
札幌市消防局在職時の救急業務の中で、緊急を要しないと思われる人まで救急車を呼ぶケースが多いことに問題を感じていました。命を救うために一刻も早く現場に急行しなければならない仕事に、支障をきたしていたのです。しかし高齢化社会を迎えた札幌には、外出困難な交通弱者の方々が急増していることも事実でした。そこで私は退職後、NPO法人「あいなび」を立ち上げ、前職の経験を生かして福祉有償運送事業を始めました。救急車を呼ぶような緊急事態ではないがタクシーでは経済的に厳しいという人たちに、タクシー料金の半額程度で利用できる福祉有償運送サービスを提供すれば、消防局の救急体制の充実にもつながると確信したからです。障がい者や要介護者など外出困難な方々が自由に外出することによって生活の幅を広げ、生きがいのある生活ができる地域社会にすることも目的に、現在は車いす対応車やストレッチャーを装備した車両など7台体制で、通院・入退院・転院の他、買い物や旅行、社会参加などの外出をサポートしています。

あいなびの福祉有償運送車両
ボランティア活動の経験を生かして
私は小学生の時から50歳過ぎまで、ボーイスカウト活動を行っていました。「ボランティア」という言葉がまだ世に一般的でない時代から、ボーイスカウトでは募金活動などいろいろなボランティアがあったので、私はボランティアの大切さを知りました。その後、私はボーイスカウトの指導者となり、指導者仲間の神主さん、住職さん、教員、公務員、会社員など異職の指導者と出会って共に活動したことで、いち公務員であった私の見識を高めることができました。また私の子育て時代には、町内会や子供会活動のボランティアを行い、地域の子供たちの健全育成に協力。そして50歳近くとなり子どもたちが成人して少しホッとしている時に、南区にある「藤野むくどりホーム」の代表からボランティアの誘いがありました。むくどりホームとは、「障がいのある人もない人も、赤ちゃんからお年寄りまで誰もが気軽に立ち寄ることのできる友だちづくりの家」が理念の素敵な居場所です。ホームの前のバリアフリーの公園「藤野むくどり公園」にはバリアフリーのブランコや滑り台など遊具がたくさんあり、小さいけれど素晴らしい公園です。そこのボランティア活動を通して、私は誰もが地域の中で楽しく共生できる居場所の大切さを痛感いたしました。

地域交流サロンくるみなの手芸教室
私たちの事務所には、もうひとつのNPO があります。介護保険事業をおこなう「NPO 法人みなぱ」です。理念はあいなびと同じ「障がいがあってもなくても、赤ちゃんからお年寄りまで、生まれ育った地域の中で楽しく共生できる居場所づくり」で、居宅介護支援事業や訪問介護サービス、障害福祉サービス、児童デイサービスなどを提供し、あいなびと二人三脚で活動しています。将来は「楽しく共生できる居場所」として地域食堂、喫茶店、集会場など地域の誰もが気軽に利用できる交流サロンと高齢者や児童のデイサービス、作業所や保育園などの機能をあわせもった施設を作りたいと考えています。
皆様にもぜひ、仕事とボランティア活動の経験を生かしてNPO法人を立ち上げることをお勧めいたします。
ボランティア募集
あいなびの各事業で、随時ボランティアを募集しています。また「NPO 法人みなぱ」では児童デイサービスや子育て支援事業で子どもたちを支援してくださるボランティアを募集しています。関心をお持ちの方は「あいなび」にご連絡ください。
NPO法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび
札幌市南区南34条西11丁目2-12
メール ainabi@apost.plala.or.jp TEL:011-582-8982 FAX:011-522-7982
http://www7.plala.or.jp/ainabi/