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2012年9月 荒野耕司さん〜NPO法人地域生活きたのセンターぱお代表

荒野 耕司(あらの こうじ)
NPO法人地域生活きたのセンターぱお代表

1959年倶知安町生まれ。18年勤務した運送会社を退職後、2002年に「障がいがある人も地域で当たり前に働いて暮らそう」と障がいのある人が一般就労を目指す作業所を設立。障がい者のための2作業所、雑貨屋や食堂、喫茶店など5店、グループホームや下宿屋4軒、相談支援や地域支援の場を2か所運営する。A型事業所株式会社コンパス代表取締役。

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障がいがあっても当たり前に地域で暮らす

 私には子どもが3人いて、真ん中の子が自閉症です。自閉症と分かった当時は何か特別な対応が必要だと考えましたが、子育てを通じて「子ども同士の関わりによる効果」を実感し、「特別なことはいらない。当たり前の暮らし方でいい」と思えるようになりました。小学校は迷いなく普通学校を選び、当たり前に通いました。「普通、当たり前に」と言っても学校とのやり取りはいろいろあり、ここには書ききれません。

 そのころ私は大手の運送会社に勤務し、某営業所の所長でした。お中元やお歳暮、引越し、選果作業(果物を大きさや良し悪しで分ける作業)でアルバイトを雇う機会が多い職場でした。選果作業に、ある高等養護学校から生徒の実習の申し入れがありました。様々な問題がありお断りしたのですが、「自分の子は将来働けるだろうか」と考えるようになりました。選果の現場を改めて見ると、大勢の中でてきぱき働ける人もいれば、そうでない人もいます。ある現場では、そうした特性と作業をまとめ役の人がうまく組み合わせることで、いろんな人が一緒に働いていました。別の現場では一人一人の能率がはっきり分かる仕組みになっていたため、能率の上がらない人を辞めさせるように請負先に言われました。人に仕事を任せるのが苦手な私は現場を仕切る中で部下が上手くできないことを何でも抱え込み、行き詰っていました。会社を辞めることになり、でも同じような仕事をする気になれず、失業保険を頼りに少し勉強することにしました。

 ちょうど札幌で障害者インターナショナル(DPI)の世界大会が開かれる前の年で、障がいを持つ子の親御さんたちとシンポジウムの企画に取り組んでいて、まだ日本には普及していない「ジョブコーチ」(障がい者が円滑に就労できるよう、本人に寄り添って職場内外の支援環境を整える役割の人)を知りました。息子を8年間育ててきたことで自閉の人と付き合う自信はあったので、「彼らが働く道筋作りを仕事にできないか」と考えるようになりました。

「ない」から創ってきた。これまでもこれからも。

札幌には当時100以上の作業所がありましたが、「就労支援」をメインにした所は数えるほどしかありませんでした。そこで2002年、就労支援を行う小規模作業所「地域生活きたのセンターぱお」をメンバー0人で始めました。福祉の常識では、通いたい人がいるから作業所を作るのですが、私は先ず事業所を作ってから人を集めるという、福祉以外では当たり前の手順で開設しました。数週間後に一人目のメンバーさんが通い始め、その後も紆余曲折はありながらも順調にメンバーさんは集まってきました。

 作業所を始めて2年後には「今後は作業所をやるのに法人格が必要」というのでNPO 法人にしました。翌年には就労した後の自立生活を目指すためにグループホームを始めました。その翌年「就労支援」を一つの目玉とした自立支援法が成立し、私たちの事業に追い風が吹きます。早速、私は自立支援法の事業所として作業所を改組し、積極的に人前に出る飲食店業務などを充実させました。

「はちみつ」での養蜂の様子

 これからの事業展開の一つは「はちみつ」です。ぱおでは農作業にも取り組んでいますが、開花期に虫が少ないことに気がつきました。調べると養蜂も減っているようなので自分たちで蜂を飼うことを考え、先に販路作りとして北海道産のハチミツを一斗缶で仕入れ、小瓶に詰め替えて「ビーちゃんからの贈り物」というネーミングで売りました。すると、ビルの屋上で蜂を飼い始めていた事業者から瓶詰めの依頼が来たのです。そこで私たちも蜂を購入し、その事業者に一緒に管理してもらうことにしました。今年はさらに巣箱を増やし、将来的には自分たちで蜂を管理できるように経験を積み、ハチミツやハチミツを使ったお菓子の販売を拡大していきたい、と甘い夢を広げています。

 事業展開のもう一つは、誰でも気軽に集まって相談できる場を作ることです。諸外国には精神に障がいがある人を支援する場「クラブハウス」がありますが日本では充実してなく、親や学校がいつまでもフォローしているため、フォローしきれなくなったところで悲しい事件が起きることもありました。また、制度がどんなに充実したとしても、普段から集い、一緒に食べたり、活動したり、遊んだりするような関係がないと、「相談する」という行為はとても敷居の高いものです。いざという時、本当に深刻な相談ができるためには、普段の関係が大切です。私たちが運営する「地域活動センター栄通プラザ」(白石区栄通18丁目6-15)は、地域の中にあるホッとできる場、ちょっとした相談やいいことがあったときに話に来られる「止まり木」のような場を目指しています。どなたでもぜひお立ち寄りください。

地域活動センター栄通プラザ

 私は福祉の常識を知らなかったことで、福祉に足りないことや、利用者が本当に求めているものを追求することができたように思います。これまでも、これからも、必要だと感じるものを創り続けていきたいです。

ボランティア募集

栄通プラザでは一緒に活動を手伝ってくれる方を募集しています。工作・工芸、家事、雑事などで何か得意なものを一つでも持っている人、人と話すのが好きな人、大歓迎です。

NPO法人地域生活きたのセンターぱお
札幌市清田区北野5条3丁目4-14
TEL:011-889-6560
http://pao.moo.jp/pao/

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