朝日新聞出版AERAアエラ(2024年12月23日号)で紹介されました。

2012年11月 目黒義重さん〜NPO法人どんころ野外学校理事長

目黒 義重(めぐろ よししげ)

NPO法人どんころ野外学校 理事長

1951年美幌町生まれ。高校時代に山岳部に入り、山のとりこに。釧路市の会社を34歳で退職後、家族で南富良野町に移住し、町営牧場の跡地を借りて丸太で野外学校を建設。道内で初めて、ラフティングによる川くだりを近隣の空知川で導入した。

目次

アルバイトしながら学校を建設

 1986年に脱サラし、南富良野町の山間の地に家族とともに棲みつきました。当初ははっきりとした目的もヴィジョンもなかったのですが、勤め人時代に帯広の植村直己野外学校でボランティアスタッフをやっていた関係で、ぼんやりと「野外学校的なものをやれたらいいな」と考えていました。名前も「どんころフィールド」とか「暗中模索学校」などと考えていましたが、これではあまりにも訳が分からなさ過ぎて周囲の理解が得られないと思い、現在の名前「どんころ野外学校」に落ち着きました。わずかばかりの資金はすぐに底をつき、近くの牧場や農家で働きながら学校を丸太で手作りし、3年以上かかりました。そのとき、たくさんの友人や旅人が手伝ってくれ、その中の何人かがスタッフとしてそのまま残ってくれました。

ゆっくクライミング教室

 1989年に野外活動の指導者養成を目的に活動を始めました。しかし、生徒を募集しても反応はほとんどなく仕事にならないため、10人前後のスタッフと共に、生活費を得るために近くの公営牧場で牧柵整備や乾草上げ、建築現場の出稼ぎなどに10年近く明け暮れました。折りしもアウトドアスポーツブームがやって来て、ようやく本来の仕事で生活できるようなりました。

 2003年に組織形態をNPO にしました。一般的な株式会社などにしなかったのは、町有地を借りて始めたこと、「学校」という名がついていること、NPO の設立に詳しい友人がいたことなどが要因で、ある意味、成り行きでした。でも年数が経つにつれて、「NPO で良かった」と、より感じるようになりました。理由は、NPO は不完全な今の社会に必要な法人形態であり、私たちの活動や理念に近いと思われるからです。ご存知の通り、NPO で働いてもあまりお金にはなりませんが、必要とされる仕事があるだけマシだし、なければ地域のニーズは満たされません。
 

Find your own stream!(自身の流れを見つけて漕ぎ出そう)

 最初は曖昧な形で始まりましたが、今やわがNPO は明確な目的意識と社会的使命感を持って仕事に取り組んでいます。主な仕事は、ラフティングやカヌーなどの川下り、山登り、自然探索、キャンピング、犬ぞり、山スキー、スノーキャンプなど野外活動体験の推進、町内小中学校でカヌーやカーリング授業指導、総合型地域スポーツクラブの運営サポート、町立スポーツ施設の指定管理業務などです。職員を10人近く抱えるNPO としては、人口2,800人の小さな町でやれることなら何でもやろうということです。また、やらなくては生きて行けません。ラフティング部門の収益が幸い好調で、その余力で東日本大震災にボランティアスタッフを派遣したり、福島の子どもたちの受入れができたほか、収益性の少ない総合型スポーツクラブの運営などを継続できています。

 今後も、私たちの収入源である野外体験活動の推進部門については収益性を追及して資金源と位置づけるとともに、この業界に関わっているアウトドアガイドの質と地位の向上をはかっていきます。北海道が2002年にアウトドアガイドの資格制度を作ったため、その普及にも取り組んでいます。

犬ぞりに乗るスタッフ

 2009年から取り組み始めた「総合型地域スポーツクラブ」は可能性の宝庫です。現在は生涯学習社会といわれており、南富良野町のような小さな町では、公共図書館、町民大学に並ぶ、地域社会を支える三つ目の大きな柱だと思っています。私たちが携わっているクラブの名称は「みなみふらのS HC クラブゆっく」といいます。S はスポーツ、H は健康、C は文化です。会員は町内の小中高校、障がい者施設、スポーツ団体など600人を超えており、将来は、学校スポーツ、文化事業、社会教育、福祉など地域における様々な課題とニーズに応えていこうと考えています。そのためには、財政基盤を今のようなタコが自分の足を食いつないで生きているような脆弱なものではなく、もっと強化しなければなりません。私たちは、2012年から取りやすくなった認定NPO 法人格を現在申請中で、取得後は地域の課題に取り組むだけではなく、広く全国に向けて私たちの志を発信していきたいと思っています。

 NPO は最近、新しい公共といわれ脚光を浴びているようですが、特に地方のNPO の存続は生易しいものではありません。古い公共(役所)の下請けならともかく、自立するには険しい道のりが続きます。いま私たちには人材が必要です。山登りやアウトドアの好きな人、パソコンの得意な人、子どもやお年寄りを好きな人、スポーツや福祉、音楽、芸術、社会教育などに興味のある方、志があって何かをやりたい方を求めています。わがNPOのキャッチコピーは「Find your own stream」。自分の流れを見つけて漕ぎ出しましょう!

NPO法人どんころ野外学校
〒079-2551 空知郡南富良野町落合1074
TEL 0167-53-2171 FAX 0167-38-4200
メール donkoro@jeans.ocn.ne.jp
ホームページ http://www.donkoro.com/

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