全国の死別者様のためのZoom交流会

障害者こそ“IT”が必要

「障害者こそ“IT”が必要」のタイトルで、 2000年10月に弊社代表が札幌市総務局発行「都市政策研究ニュースCUE!」に寄稿した原稿です。

札幌チャレンジド・ボラナビ倶楽部 代表 森田 麻美子

「ボラナビに協賛してください!」−ダメ元で、ソフトウェア会社の社長さんにお願いしてみました。東京から講演にいらしたときです。

ボラナビ倶楽部は、札幌のボランティア情報を掲載した無料誌「月刊ボラナビ」を発行している社会人と学生のグループです。どこでどんなボランティア団体が活動していて、どんな手助けを求めているかが分かれば、多くの人が地域活動に参加しやすくなります。毎月2万5千部発行し、市内350ヶ所のスーパー、大学、書店、そして協力くださっている区役所や図書館で配布しています。発行費用は、企業や個人からの協賛金でまかなっています。

後日、社長さんから「ユニークな活動に感心しました」と協賛金のほか、本「プロップステーションの挑戦」をいただきました。障害者を対象にパソコンセミナーを開き、パソコンの仕事をあっせんしている神戸の団体を紹介したものです。私は、パソコンが障害者の「障害」をなくすものと知りませんでした。確かに、車いすの人と車いすではない人に、パソコンを使う上で差はありません。耳が聞こえない人、目が不自由な人、身体がうまく動かない人・・・パソコンと補助器具があれば、障害を持たない人と同じです。いえ、それ以上かもしれません。

脳性まひの若者が思い通りにならない右手でパソコンを操作し描いた作品は、とても迫力がありました。彼の言葉「精神が肉体の檻(おり)からはみ出そうとしている」−彼らの思い、才能に気づかないふりをしてはいけない。私は、いてもたってもいられなくなりました。障害者のことをもっと知りたい。聞きたい。パソコンをどのくらい使っているの?障害者自身は、パソコンの可能性をすでに知っているんでしょ?

ところが、私の周りの障害者や障害者団体に聞くと、パソコンをほとんど使っていないことが分かりました。「パソコン教室に通おうと思っても、街中のビルまで行けない」「車いすトイレがない」「講師に嫌がられる」「自分でテキストをめくったり、トイレに行ったりできない」「パソコンに触ったことがないから、良さが分からない」・・・。(市役所の)みなさんの周りには、パソコンが何台ありますか?ボランティア団体運営者の私にはパソコン無しの生活は考えられません。でも、彼らこそITが必要なのです。気づいてもらえていない障害者がたくさんいる。私はようやく、そのことに気がつきました。

すぐに会場を手配し、手伝ってくれる人を見つけ、障害者のパソコンセミナーを開催するボランティアグループ「札幌チャレンジド」を始めました(2000年3月)。集まった障害者は老若男女62人。翌月からすぐ、ワード、インターネット、とセミナーを始めました。札幌大学、札幌学院大学、民間のパソコンスクールから講師や会場の提供を受けました。また、障害者のIT状況を調べるアンケートを始めました(道庁からの依頼)。パソコンを使った仕事(橋などの手書きの図面をパソコンに入力して設計図データにするもの)がまわってきました。それに挑戦する障害者メンバーのために、専門家を含む多くの人が、夜、自分の仕事が終わった後に駆けつけて補習を手伝ってくれるようになりました。

目まぐるしい活動です。でも、彼らの上達を一緒に喜び、スランプを一緒に悩む中で、互いのきずなが強くなっていくのを感じます。「みんなで一緒に、情報化の波に乗っていこうね」。笑いあっている障害者メンバーとボランティアスタッフを見ていると、もう、そんなことを言うまでもないようです。

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