日本の離婚率の現状についてご紹介します。
2023年9月に政府が公開した人口動態調査を元に2022年の統計を中心にまとめています。
日本国内の現状に加え、海外との比較、コロナ関連の情報等も紹介しています。
2021年版記事の統計と内容を更新しました。(2023年11月)
2022年の離婚件数は前年より約3%減少(3年連続減少)
2022年9月に政府が公開した人口動態調査によると、2022年(令和4年)の離婚件数は17万9,099組、離婚率(人口千対)は1.47でした。
前年の18万4,384組より5,285組(2.95%)減少、離婚率(人口千対)は、前年の1.50から1.47へと低下しました。
3年連続で減少しています。
この離婚率とは、人口千人当たりの離婚件数で、次の計算式で求められた数字です。
離婚率=年間離婚届出件数÷日本人の人口数(各年10月1日時点)×1000
つまり、離婚率とは人口千人当たりの離婚件数のことです。
2002年以降、離婚件数は減少傾向が続いている
離婚件数の年次推移をみると、2002年の28万9836組をピークに減少傾向が続いています。
2019年は前年より離婚率も増えましたが、2020年は再び減少に転じました。
さかのぼって1970年以降を見てみると、1983年までは増加を続け、1984年から減少。平成(1989年)に入って再び増加した後、2002年から減少に転じています。
この後の引用では離婚率の上昇・減少は、婚姻率の増減に連動するとされています。
2019年は「令和婚ブーム」があり婚姻率が上昇し、離婚率も減少したとみられています。
太平洋戦争が終わると、婚姻率の上昇と合わせる形で離婚率も上昇したあと、1960年代までは漸減。
出典:婚姻率や離婚率の移り変わりの実情をさぐる(2023年公開版)
その後ゆっくりと上昇に転じる。1980年代後半には婚姻数・率の減少に影響される形でやや凹みを見せるも、上昇を再開。2000年代初頭にピークを迎えた後は、婚姻率の低下に連動する形で、再び漸減傾向を見せている(婚姻しなければ離婚はできない。離婚率は「人口比」のため、婚姻している人が少なくなれば離婚の可能性も少なくなる)。
2019年(令和元年)の婚姻率増加については 婚姻数の現状-2019年は「令和婚」ブームで7年ぶりに増加 をご覧ください
離婚の多い都道府県はどこ?
都道府県別の離婚率をみると、高い順のトップ5は①沖縄県 ②大阪府 ③福岡県 ④宮崎県 ⑤北海道となっています。
南と北の端の県が入っており、2021年のトップ5と同じ顔ぶれです。
逆に離婚率の低い県は、低い順で ㊼富山県 ㊻新潟県 ㊺石川県 ㊹福井県 ㊸秋田県と下位の4県は日本海側の県が多くなっています。
離婚の多い年齢は?
男女ともに、30歳から34歳がトップです。また25歳から49歳までが5位までに入っています。
かつてセンセーショナルな問題として取り上げられ、ドラマなどのテーマにもなっている「熟年離婚」は他の年代層と比較すると、それほど多くないようです。
「熟年」の定義も明確ではありませんが、50~54歳は男性が2.94(6位)、女性が2.67(7位)。
それ以上の年齢はもっと少なくなっており、ランキング下位の9位以降は60代以上が並んでいます。(例外として一番若い10代が男性14位、女性が13位に入っています)
夫婦それぞれの年齢が高齢の場合、または、10代は離婚率は低いという結果になっています。
結婚してから何年で離婚しているか?
同居期間別の離婚件数のランキングです。
同居期間とは、結婚式をあげたときまたは同居を始めたときから同居をやめたときまでの期間のことです。
トップ4は、①5年未満 ②5~10年 ③10~15年 ④15~20年と、同居期間の少ない順に並んでいます。
同居期間が長いほど、離婚率が下がってくる傾向にあります。
先の「離婚の多い年齢」では、男女ともに、30歳から34歳がトップなので、25~30歳位に結婚して5年以内に離婚する人が多いと推測されます。
子供の有無や数と離婚率の関連は?
「子供がいる夫婦」と「いない夫婦」の離婚数の比較。また、「子供がいる夫婦」の離婚の中で子供の数による離婚件数の比較です。
割合は、それぞれの表の離婚件数全体に占める割合です。
まず、子供の有無による比較では、子供がいない夫婦は84,534件、いる夫婦は94,565件と、子供がいる世帯の方が多いです。
※国民生活基礎調査のデータ(2022年)では、世帯構造は「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1,402万2千世帯(全世帯の25.8%)、3世代世帯208万6千世帯(3.8%)も子供がいるとして、両方を合わせると1,610万8千世帯(全世帯の29.6%)が子供がいる世帯。
「夫婦のみの世帯」が1,333万世帯(同24.5%)となっています。
以下の計算は、人口動態調査と国民生活基礎調査のデータという2種類のデータを元にしているので、少し正確性に欠けるかもしれませんが、参考程度に算出しました。
①「子供がいる夫婦の離婚件数」(人口動態調査)が「子供がいる世帯数」(国民生活基礎調査)に占める割合と、②「子供がいない夫婦の離婚件数」が「夫婦のみの世帯」に占める割合を計算してみると、①が0.56%、②が0.66%で、若干、子供がいる夫婦の方が離婚の割合が高いです。
「子はかすがい」という言葉ありますが、統計上は子供がいる、いないによる離婚率の差はそれほど大きくはないようです。
また、子供の数による離婚件数では、子供の人数が増えるに従って離婚件数が減っているのが分かります。
ただし、子供の数が多い世帯は、世帯数自体が少ないので、子供の数と離婚割合のとの因果関係は不明です。
離婚率の国際ランキング
国によって調査年次が異なりますが、世界の統計に掲載されたデータを元に順位を付けています。
この統計の2019年版で離婚率トップだったロシアは、統計の値が古いためか含まれていません。
離婚率を諸外国と比較してみると、主要国71カ国中41位となっています。
日本の離婚率は1.5。
先進諸国では、アメリカが2.3、韓国が2.0、ドイツが1.7、オーストラリア、イギリスが1.6、日本は先進諸国の中では比較的低いです。
離婚原因ランキング
全国の家庭裁判所へ婚姻関係事件を申し立てた人の申立の動機についての件数をまとめたものです。(重複可で主なものを3つまでカウントしています)
夫からの離婚原因
最も多いのが「性格が合わない」で、「精神的に虐待する」が2位、4位が「異性関係」、5位が「家族親族と折り合いが悪い」という順位になっています。
3位「その他」の詳細は不明です。
妻からの離婚原因
妻からの申し立ても「性格が合わない」がトップ。2位が「生活費を渡さない」、3位が「精神的に虐待する」、4位が「暴力を振るう」、5位が「異性関係」となっています。
妻から、夫からの両方で「性格が合わない」がトップ。
「精神的に虐待する」「異性関係」がともに上位となっています。
夫と妻で順位が大きく異なるのは、「家族親族と折り合いが悪い」(夫5位/妻12位)、「生活費を渡さない」(妻2位/夫10位)などです。
「コロナ離婚」について
コロナ禍の中、以前、「コロナ離婚」という言葉がニュースを賑わしました。
コロナはまだ完全には収束していませんが、一昨年位からは「コロナ離婚」が話題になることはなくなったように思います。
「コロナ離婚」は、コロナ禍の在宅勤務により、夫婦が自宅で顔を合わせる時間が長くなり、飲み会やカラオケなど一般的なストレス発散もできないため、以前から不満やトラブルがあった夫婦間で離婚が増えるのではないかとの予測でした。
参考:「コロナ離婚」急増は本当か? ニッポンの夫婦「驚きの実態」(現代ビジネス)
一方、コロナ禍で夫婦が「円満になった」「仲よくなった」というアンケート調査を紹介していたネットニュースもありました。
離婚件数は2020年以降、前年より減少。コロナ前からの離婚率の減少傾向は、現在も続いており、コロナによる特に大きな変化は起きていないと思います。
まとめ
2002年以降の離婚率の減少傾向は続いています。
婚姻率や出生数が減少しており、離婚率が減少傾向にあるのは、当然のことだと思います。
今後、人口減少、高齢化が進む一方なので、離婚率の減少傾向もずっと続いていくと思われます。
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